研究課題/領域番号 |
25750012
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
鈴木 奈穂美 専修大学, 経済学部, 准教授 (10386302)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | インフォーマル介護者 / 介護者支援サービスモデル / オーストラリア |
研究実績の概要 |
専修大学社会知性開発センターが実施したアンケート調査をもちいて、インフォーマル介護者(家族介護者)の介護負担と主観的幸福度の関係について分析をおこなった。介護負担変数(主介護者ダミー・介護時間)から性別などの調整変数の効果を除去しても、介護負担変数が主観的幸福度に負の影響を及ぼしていることがわかった。 また、どのような介護者支援サービスモデルの構築が必要であるのかを検討するため、岩手県花巻市が実施している在宅介護者など訪問相談事業の訪問相談記録と、オーストラリアの介護者支援施策の動向の分析をおこなった。 前者は、2011~2015年度に実施された在宅介護者等訪問相談事業の長期間訪問者を抽出し、訪問相談がもたらすインフォーマル介護者(家族介護者)への効果を分析した。分析方法は、訪問相談記録のなかから、インフォーマル介護者への効果と考えられる内容を抽出・類型化するというものである。その結果、家族介護者への心理的影響、家族介護者の孤立防止、被介護者のサービス利用、医療・介護・生活上の情報入手、家族介護者の社会参加、家族関係の調整といった効果カテゴリーが抽出できた。 後者は、オーストラリア連邦政府が1990年代以降に実施しているインフォーマル介護者への支援サービスのあゆみを分析し、日本への政策的インプリケーションを示した。政策的インプリケーションでは、介護者の権利保障や個別支援や予防的支援の視点を取り入れた支援サービスに注目した考察をおこなった。 さらに、インフォーマル介護者の実態把握を進めるためには統計の整備が必要であると考え、日本とオーストラリアで実施されているインフォーマル介護者統計を比較分析を始めた。そして、インフォーマル介護者の定義と調査項目について分析を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
出産のため、平成27年に研究を中断した。前年度と比較して、平成29年度は研究時間の確保に努めたものの、これまでの遅れを取り戻すまでに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、インフォーマル介護者の生活実態把握のための調査を実施する。また、国内外の介護者支援の取り組みにかんする情報収集をおこなう。そして、介護者支援サービスモデル構築の方法を検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)出産のため、平成27年に研究を中断した。平成29年度は前年度と比較し、研究時間の確保に努めたものの、研究時間の制約はいまだあり、研究補助者の管理が困難であった。そのため、アルバイトの採用を控えたことによるものが大きい。 (使用計画)平成30年度は、介護者の生活実態の把握と介護者支援サービスモデルの検証をおこなうため、これにかかわる調査費と文献資料購入などを中心に研究費の使用を進めていく予定である。
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