2019年度は、1)介護保険制度の創設から現在に至るまでの歩みの整理、2)就労介護者の仕事と介護の両立に関する調査の計画・実査、3)介護者の生活支援サービスの1つである「アウトリーチ・サービス・モデル」の検証の3点について研究を進めた。 1)介護保険制度の創設から現在に至るまでの歩みの整理では、制度創設20年を迎える年度であったため、制度の理念、サービスメニュー、介護サービス事業者数などについて、制度創設時から現在に至るまでの変化を辿っていった。特に、介護者支援とのかかわりから、在宅介護サービスを中心にデータの整理を行った。 2)就労介護者の仕事と介護の両立に関する調査の計画・実査では、就労中の家族介護者(ワーキングケアラー)の仕事と介護の両立の実態に加え、ソーシャル・キャピタルの実態の把握も含めた調査を行った。調査結果の分析・考察を通じて、介護をしているか、していないかにかかわらず、働きやすく、暮らしやすい社会環境を整えるための政策提言のために実施した。 3)介護者の生活支援サービスの1つである「アウトリーチ・サービス・モデル」の検証は、前年度に引き続き行っているものである。介護者支援サービスのうち、諸外国では家庭訪問型支援や地域づくり型支援の重要性が指摘されていることを踏まえ、前年度は「アウトリーチ・サービス・モデル」の理論的枠組みを作成した。この枠組みを用いて、前年度から引き続き、日本で実施されている家族介護者向けアウトリーチ・サービスの分析をおこなった。
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