研究課題/領域番号 |
25750013
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 神戸常盤大学 |
研究代表者 |
松尾 寛子 神戸常盤大学, 教育学部, 講師 (60441391)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 子育て支援 / 保護者対応 / コミュニケーション / 保育の質向上 |
研究概要 |
平成25年度の主要な成果は、当該年度の研究計画の通り、研究に要する資料の収集・整理及び検討を行ったことである。研究の進行過程において、平成23年に予備調査として実施していたアンケートについて調査報告を学会発表した後、所属研究機関の研究紀要(査読有)に投稿した。 本研究に関するアンケートについては、県内の乳児を預かる認可民間保育所園長に平成25年8月送付、220園から返送があった。これらについては学会での発表と、所属研究機関の研究紀要(査読有)を念頭に置いていたため、保育所への聞き取り調査は平成26年度実施予定である。 早朝保育時間、通常保育時間、延長保育時間ごとに、場所、人、その理由、連携方法などについて回答を求めた。結果としては、おおむねの保育所が保護者と連携を図ることを念頭に置いた受け渡し方法を行っている中、保護者と担任が接する機会が持ちにくい方法での送迎を実施している保育所や、保護者と保育士が話し込むのを避けるためにその送迎方法を実施していると回答した保育所の存在が明らかとなったことは、一定の成果があったものと考える。また地域の特性もあるが「防犯のため」に保護者を保育室内まで入れる保育所もあれば、「防犯のため」に保護者を門のあたりまでしか入れない、という保育所もあり、多様な保育が実施されていることが明らかになった。 アンケート結果より、保育の質向上を図るために送迎時の保護者とのインフォーマルなコミュニケーションの大切さを、保育所や保育士が自覚を持てるようにするために、保護者対応等でどの程度の業務負担感があるのかを実態調査しなければならないということも明らかとなった。 一方で、送迎時間の短縮を挙げている保育所の存在が予想以上に多く、保護者が保育士とのインフォーマルな支援をどの程度希望しているのかを調査しなければならないということは、新たな課題であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の主要な成果は当該年度の研究計画の通り、研究に要する資料の収集・整理及び検討を行ったことであり、アンケート回収もデータ入力も終了している。本研究のための予備調査として平成23年にアンケート調査を実施したものについて、平成25年の学会発表後に、所属研究機関の研究紀要(査読有)に投稿した。この研究については科研費申請以前のものであるが、予備調査として実施していたものであり、本研究に大いに参考になる資料であると認識している。 本研究で行ったアンケートについては平成26年度の日本保育学会で発表予定であり、それを所属研究機関の研究紀要(査読有)に投稿するために、論文作成中である。 このように平成25年度に予定していたことは計画通りに進んでおり、平成25年度の積み残しがない状態で平成26年度を迎えていることが、おおむね順調に進展しているという証拠であると考える。 平成26年度実施予定の日本保育学科会での発表でいただいた意見や助言を元に、聞き取り調査資料を作成し、平成26年度夏以降に聞き取り調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で行ったアンケートについては平成26年度の日本保育学会で発表予定であり、それを所属研究機関の研究紀要(査読有)に投稿するために、論文作成中である。アンケートデータから読み取れることは多く、保育所・保育士への聞き取り調査を平成26年度は実施予定である。 聞き取り調査については保育所により保育方針が異なることを分かった上で、正しく聞き取りすることができるように心がけていかなければならないと感じている。 平成25年度実施のアンケート返送時に、保育所からからの回答で門のあたりや玄関ホール付近での送迎を挙げているということに違和感を感じた、としている保育所がある一方、「保育士と保護者が話し込むのを避けるため」ということを理由として挙げている保育所があり、保護者対応について、保育士が負担に思っているのではないかということ、保育所によって保育方法が非常に多様である、という2点が大きく分かったことである。保護者対応に対する保育士研修制度のあり方も今後の研究課題であるということが見えてきたのに加え、保護者が送迎時に保育士とどの程度のコミュニケーションを望むのかを調査しなければならないということも新たな課題として見えてきたが、平成26年度では聞き取り調査を通して保育所側の実施しているインフォーマルな子育て支援の実態調査を行うことが主たる研究目的であるため、このことに全力を注ぎたい。 本研究終了後には、保護者が望むインフォーマルな子育て支援へと移行できるようにしたい。そうすることにより保育所と保護者が望むインフォーマルな子育て支援の差が縮まり、有効な送迎時のコミュニケーションが図られると感じている。
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