研究課題/領域番号 |
25750014
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研究機関 | 川口短期大学 |
研究代表者 |
井上 清美 川口短期大学, その他部局等, 准教授 (30517305)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 専業母 / 子育て支援 / 一時保育 / フィンランド / ラヒホイタヤ |
研究実績の概要 |
①本研究のテーマは家庭で育児に専念する「専業母」を対象とした一時保育および子育て支援であり、保育制度および保育者養成について、北欧型福祉社会と日本を比較するため、9月4日~16日の間フィンランドに滞在し、観察およびインタビューを実施した。近年、日本ではフィンランドにおいて母子保健サービスを提供するネウヴォラに注目が集まり、妊娠から出産、子育てを継続的に支援するシステムがいくつかの自治体で導入されつつある。また、フィンランドの教育システムはOECD学習到達度調査の結果が示すように国際的な評価が高く、教師教育のレベルが高いことでも知られているが、未就学時の保育は母子保健と教育の狭間にあって調査研究も少ない。フィンランドではそもそも「専業母への子育て支援」という概念が希薄であり、保育を受けることは親と子どもにとって当然の権利であるという意識が浸透していた。調査結果から保育と介護の共通ケア資格であるラヒホイタヤに焦点をあて、日本保育学会第68回大会にて報告した。 ②一時保育を提供する子育て支援のNPOやファミリー・サポート事業では、子育てを終えた女性たちが中心的な担い手として活動している。利用する側の「専業母」とは価値観や規範意識が異なり、そこから葛藤やジレンマが生じているという問題意識のもと、量的調査である「子育て支援者の身分保障」のデータを用い、世代間の比較を行った。分析の結果は日本発達心理学会大会のラウンドテーブルにて報告した。さらに3月には生活協同組合のパルキッズなどを対象に、多世代関係を構築する仕組みづくりについて観察およびインタビューを実施した。 ③わが国の保育制度における一時保育の歴史と今後の展開について考察するため、戦前から戦後、現在の子ども・子育て新制度に至るまでの白書や審議会答申等の内容を分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では27年度に実施する予定であった海外調査を、26年度中に前倒しして行うことができた。 26年度中に実施する予定であった質問紙調査については、配布・回収の面で当初より遅れがみられるものの、すでにプレテストを実施し、質問紙は完成している。
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今後の研究の推進方策 |
①今年度前半は、2つの質問紙調査を実施する。第一に「専業母」を対象として、一時保育のニーズや子育て支援としての効果について分析を行う。また、実際に利用している回答者と利用していない回答者とを比較し、子育て支援としての一時保育に必要な条件を探る。第二に、一時保育および一時あずかりの提供者に対して質問紙調査を実施する。いずれもプレテストを実施し、質問紙は完成している。引き続き、配布、回収の依頼を早急に進め、調査を実施する予定である。 ②最終年度である本年は、これまでの研究成果を整理し、関連づけることによって、最終的な知見を提示することが最大の目標である。今年度後半は、質問紙調査によって得られたデータの分析結果と、保育制度の国際比較によって明らかになった課題とを関連づけながら、今後の子育て支援政策にむけての提言をまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
25年度中に実施する予定であった質問紙調査の実施が遅れているため。
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次年度使用額の使用計画 |
質問紙調査を本年度中に2回実施する予定である。
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