女性の社会進出や核家族化の進行にともない、留守家庭児童が過半数を占める新たな時代が訪れる中、「学校」でも「家庭」でもない「学童保育」の時間に子どもたちへの豊かな生活を提供することの重要性が高まっていると言える。特に、若者の生活力低下が叫ばれる今日、学童保育には豊かな生活体験の場を提供し、子どもたちへの生活力の向上に寄与することが望まれる。 学童保育での生活体験と学童保育児童の生活力の関係について、把握し、生活体験活動のあり方を検討するため、継続調査として、学童保育での生活体験に関わる3段階の視点「①普段の生活(短時間保育時)」「②土曜・長期休業時の生活(長時間保育時)」「③行事での取り組み」から訪問ヒアリング・観察調査を実施するとともに、おやつの時間における生活力に注目し、大阪市A学童保育卒所生へのアンケート調査を実施した。また学童保育指導員の「生活」に対する認識と児童への働きかけに関する全国調査(アンケート調査)を実施した。 それとともに、学童保育制度変更の流れを受け、平成27年度よりスタートした「放課後児童支援員認定資格研修」について、研修修了者を対象としたアンケート調査を行うことにより、「学童保育での生活に関する内容」がどのように理解されその後の学童保育実践に生かされているかについても把握した。 以上の調査より、学童保育では、衣・食・住・消費・環境等あらゆる観点から、子どもたちの生活力を高める機会が存在し、実践されている事例があることが確認された。しかし、全国的にみると、掃除活動を除き、生活力を高める各種活動を行っている学童保育は少数であった。また子どもたちを「生活の計画や内容作りに参画させていない」と3割以上の学童保育指導員から回答があったこと等から「子どもが主体的に生活できる場」として認識されていない学童保育も少なからず存在することが把握された。
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