研究課題
魚類アレルギー患者の原因アレルゲンを調べた。パルブアルブミン(PV)陽性率は44%で、コラーゲンは50%だった。25魚種のIgE反応性をマサバPVで阻害した結果、高い阻害率を示し、全魚種が共通するIgE結合部位をもつことが分った。魚のアレルゲン性はPVの含有量で決定されることも分った。精製PVからCa2+を除去し立体構造を変化させると患者のIgE反応性が低下したため、Ca2+結合で保持される立体構造上にIgE結合部位があることが判明した。調味料成分がPVのアレルゲン性に及ぼす影響を調べた。NaCl処理はPVをアレルゲン性のある立体構造に組み直すが、水溶性PV量には影響しなかった。エタノールはPVの立体構造を若干崩させ、水溶性PV量も低下させた。グルコースは立体構造にも水溶性PV量にも影響しなかった。酢酸はPVの立体構造を最も崩壊させ、水溶性PV量も低下した。そこでマサバフィレを食酢処理した結果、PVの立体構造が崩壊したが、食塩存在下ではPVの変性効果が減弱した。PVを100℃で5~320分加熱した結果、320分加熱がPVの立体構造を完全に崩壊させた。また、食塩存在下でも立体構造は戻らなかった。100℃320分加熱処理は患者のIgE反応性を完全に消失させた。圧力鍋を用いて120℃60分マサバフィレを加熱すると、患者のIgE反応性は完全に低下した。20~140℃加熱したPVの蛍光を調べた結果、加熱負荷依存的にPVの蛍光反応が高くなり、分子内部のPheの分子表面への露出が考えられた。1,8-ANSを添加して蛍光反応を調べた結果、加熱負荷依存的に蛍光が強くなりPVの疎水性領域が分子内部から外部へ露出したことが分かった。加熱での低アレルゲン化が普遍的かを調べるため、30魚種抽出液を120℃60分加熱した結果、立体構造認識抗PV抗体の反応性および患者のIgE反応性は消失した。
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