研究課題/領域番号 |
25750026
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
我如古 菜月 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (70508788)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 米粉麺 / 粘弾性 / 有色米 / 機能性 / プロシアニジン / 抗酸化作用 |
研究概要 |
日本で唯一自給可能な穀物である米の消費量が減少し続けている現状から、米の消費および用途拡大を目的として、米の粒食から粉食への応用が活用されている。米粉を使用した米粉麺はさほど市場に出回っておらず、学校給食への導入もパンよりは少ない。米粉麺は小麦粉で作った麺に比べてべたつきやすく、茹でのびしやすい欠点がある。これらの欠点を改善し、腰のある日本人の嗜好に合う米粉麺を開発することを目的として、ある食物繊維及び塩化カルシウムを利用して粘弾性に優れた米粉麺を開発した。この米粉麺を、市販の麺と比較した。 せん断試験と伸長試験は、テクスチャーアナライザーにて実施した。せん断試験は、麺を5本並べ、幅1mmのナイフ形の器具で高さ5mmから4.5mmまで押しつけた時の器具の移動距離と荷重(単位N)を測定し、太さが比較的似ているひやむぎと比較した。その結果、破断試験では米粉麺の破断点が5.24±0.78Nであったのに対し、ひやむぎの破断点が3.01±0.03Nであった。また、伸長試験は1本の麺を100mm伸ばしたときに、伸ばす途中でちぎれる麺が米粉麺では10本中3本であったのに対し、ひやむぎは10本中9本であった。そのため、米粉麺はひやむぎと比較して硬くのびが良い麺であることが示唆された。 一方、赤米や黒米などの有色米にはポリフェノール成分が含まれていることが報告されている。これらの有色米を利用して米粉麺を作製できれば、さらに麺に付加価値をつけることができるため、有色米を利用した麺の作製を検討することとした。今年度は赤米に焦点を絞り、赤米中に含まれる成分の特定を行った。含水アセトンにて色素成分を抽出し、得られたエキスに対して塩酸ブタノール反応、GPC分析、NMR測定、フロログルシノール分解を行った。その結果、赤米表皮中の主要成分は、カテキンのみからなる8量体のオリゴマーであることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
米粉麺に添加する添加物が1種類しかうまくいっていないため、次年度は加熱方法や添加方法など幅広く検討する必要がある。有色米を使った麺については、今年度中に麺の作製まで到達はできなかったが、赤米中に含まれるオリゴマーの特定ができたため、オリゴマーの機能性などを検討し、加熱調理特性などを検討するとより研究を深めることができると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
米粉麺に添加する物に食物繊維を挙げているが、それらと合わせて、粘りを持つ食材(長いも等)も米粉麺に混ぜて検討する。なお、学校給食を視野に入れていることから、粘弾性の比較対象を学校給食用ソフト麺と考えていたが、入手困難により、通常の市販麺との比較とする。有色米の成分解析は引き続き行い、より詳細な構造決定を行うとともに、米粉麺にした際の成分の動向を追う。また、最終年度の米粉麺レシピ開発のため、麺の官能評価と機器分析結果との相関を見る。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初購入予定だった物品や麺が、提供してもらったり別の安価な品で代用できたりしたため購入が不要になったこと、および官能評価の謝金として考えていたが、麺試料が予定より完成することができなかったため、謝金として計上していた額が残となった。 麺への添加物の検討の幅を広げるため、その食材購入費がかかる。また、今年度の研究を踏まえて、予定していた消耗品などの物品以外にも、当初の予定とは異なる物品が必要となっている。さらに次年度は官能評価およびレシピ作製を行うことから、謝金および人件費は必要である。また、国際学会での発表を控えているため、参加費および旅費が発生する。
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