研究課題/領域番号 |
25750026
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
我如古 菜月 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (70508788)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 新規米粉麺 / 嗜好性 / 調理のしやすさ / 赤米色素成分 / 抗酸化 |
研究実績の概要 |
本研究で用いられた新規米粉麺が受け入れられか検討するために、官能評価を行った。対象者は料理教室の参加者(小学生26名、中学生~一般100名)とし、新規米粉麺の硬さや好みについて、ビーフンと比較してどちらがよいか実際に試食し、評価を行った。その結果、麺のかたさの好みについて聞いたところ、ビーフンでは「やや嫌い」「どちらでもない」と回答した者が多かったが、新規米粉麺では「好き」「やや好き」と回答した者が多かった。また、総合評価でも新規米粉麺は「やや好き」「好き」「非常に好き」と回答した者が8割を超えており、多くの人に好まれる麺であることが示唆された。 また、新規米粉麺に適する調理法の確立をするために「調理学実習Ⅰ」の中で焼ビーフンを調理する時に、ビーフンと新規米粉麺を用いて焼きビーフンを作成してもらい、新規米粉麺の調理のしやすさについてどうだったか、ビーフンと比較して7段階で回答してもらった。対象は栄養学科1年生40名のうち、焼ビーフンの調理を担当した学生13名であった。その結果、調理のしやすさについて「まあまあ良い」「良い」と回答した者が53.8%、「普通」が23.1%であった。その理由について尋ねたところ、麺を戻す時間が短いこと、麺が絡まりにくいこと、フライパンに付きにくいことが挙げられた。一方で「あまり良くない」と回答した者が23.1%であり、具と絡みにくい、もちもちしていて炒めにくいと回答があった。 基礎研究については、赤米色素成分の構成モノマーとモノマー間の結合位置などをさらに確定するために円偏光二色性スペクトルデータ解析による赤米Procyanidin の4位の絶対配置の決定を行ったところ、4位がα体であるProcyanidin B-3と同様のコットンを示したため、4α→8結合していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大量調理にむけた調査研究やレシピ開発は順調にデータが取れている。年代別の対象者において新規米粉麺に関する嗜好性調査データが得られたのは非常に有意義である。また、調理性についてはまだ少数でありもっと対象者数を増やす必要性はあるものの、取っ掛かりとなりうるデータが得られた。これらのデータをさらに解析し、大量調理に応用できる米粉麺メニューおよびマニュアルを作成していく。 しかしながら、米粉麺の粘弾性をさらに向上させるための基礎研究が思うように進んでいない。現在のところまだワンパターンのみであるため、早急に進めなくてはいけない。また、赤米などの有色米を米粉麺に導入する予定であるが、成分分析の最終段階であるフロログルシノール反応物の分取がうまくいっていない。
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今後の研究の推進方策 |
現在完成している新規米粉麺以外の方法で、更に粘弾性に優れた米粉麺ができるか早急に検討する。また、赤米のフロログルシノール反応物の分取について、HPLCにより分取したフラクションをTOF-MSで分析したところ該当する成分と同分子量の物質が分取できていた。これを大量に回収し、NMR分析を行い確定する予定である。 これらの基礎実験に加えて引き続き応用研究(嗜好性の調査、レシピ開発)も行う。特に給食施設における大量調理に応用することを考え、米粉麺の量と加熱時間、出来上がった麺の硬さを比較し、標準化ができるようなデータを取る必要性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した試薬がキャンペーン価格により予定より低価格で購入することができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は前年度までより金額が少なくなるので、試薬代として使用する予定である。
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