研究課題/領域番号 |
25750031
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
岩森 大 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (90339961)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | トロミ調整食品 / テクスチャ / 官能評価 / 撹拌 |
研究実績の概要 |
とろみ調整食品の使用時には、製品の選別、溶媒温度、溶媒への投入方法、撹拌速度、撹拌時間、放置方法など、提供までに様々な手順を経る事になる。しかしながら、 これらの手順の多くは、製品により、調整時の記載内容(以下、表記とする)が異なっている。そのため、とろみ調整には、使用者の経験や感覚といった主観的要因に頼る部分が大きい。 本研究では、従来のとろみ調整食品に記載される表記法の改善を試みた。すなわち、できる限り複雑な説明を排除し、誰もが理解、実行可能でなおかつ安定したテクスチャをもった食品を作成可能な「新表記」の考案を目的としている。 27年度は水以外の溶媒や固形食品に対する、とろみ調整食品の使用法について特に主眼をおいて検討した。特に複雑な挙動を示す水以外の溶媒に対し、各種データを取得する上で、新たな手法の確立や解析方法の構築について並行して取り組んだ。さらには26年度までに得られた知見の裏付けを、撹拌作業別にテクスチャ特性値や食味評価の再検証を行った。特に26年度に新たに開発した、圧電センサによるとろみ調整撹拌時の正確な時間的分析を可視化システムについては、水以外の溶媒や固形物にも対応可能であることを裏付けることができた。 上記内容の内、固形物に対するとろみ調整食品の使用に関しては、11月に日本官能評価学会において「とろみ調整食品を付与したあんが、嚥下調整食の食感に及ぼす影響」として学会発表を行い、新たな知見を報告した。この点において、表記法を固形物まで客観的に評価する方法を新たに確立し、従来取り組んできた内容との関連をより深く検討することが可能になったと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
27年度に予定していた計画内容の内、「水以外の溶媒や固形物の表記法改良」に想定以上の時間を要した。26年度までは水について各種データを蓄積し、当初計画通りの研究遂行を達成できたものの、水以外の飲料においては、データ挙動が複雑化したことで、それまでの官能評価手法に改良が必要であることが明らかとなった。そのため、官能評価の追加実施とそのデータ解析を計画時期から延期を余儀なくされた。一方で、固形物ととろみ調整食品の関連については、新たな知見も得られ成果を発表した。 当初計画は27年度を最終年度に位置づけていたため、(4)と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
水以外の溶媒について、27年度までに得た知見を裏付けるために、以下の追加実験および解析を優先的に行う。 水に対し、異なる挙動を示しやすい溶媒や固形物の官能評価を複数回追加実施することになる。同時に複雑化している日本のとろみ調整食品の規格(基準)に対応させるため、LST試験(日本摂食嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食分類)やレオメータ試験(嚥下食ピラミッド)等の結果を、一元化させるためのアルゴリズム構築も重点的に行いたい。 これらから、とろみ調整食品の使用に際する「表記法改良」を遂行していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
水以外の飲料において、データ挙動が複雑化したことで、それまでの官能評価手法に改良が必要であることが明らかとなった。そのため、官能評価の追加実施とそのデータ解析を計画時期から延期を余儀なくされた。上記内容は28年度夏に実施する。
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次年度使用額の使用計画 |
水に対し異なる挙動を示しやすい溶媒(麦茶、ポカリスエット、コーヒー、オレンジジュース、牛乳を使用)や固形物の官能評価を本学学生30名に対し、複数回追加実施することになる。被験者への謝金と測定補助のアルバイトにあてる。官能評価の実施と同時に、LST試験(日本摂食嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食分類)やレオメータ試験(嚥下食ピラミッド)等の結果を、一元化させるためのアルゴリズム構築も重点的に行う。そのための追加解析機器を購入する。
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