とろみ調整食品は、水を始めとする飲料に誰もがとろみを付与することができるものである。しかしながら、製品により調整時の記載内容は異なっており、この点から調整時には使用者の経験や感覚といった主観的要因に頼る箇所が多い。 一連の研究を通して、とろみ調整食品の種類、溶媒への投入方法、撹拌速度、撹拌時間、溶液の静置(経過)時間により、とろみ液のテクスチャや粘性、口腔内での感覚が異なることを報告してきた。28年度は、特に飲料の種類と撹拌操作の関連に着目した。27年度までに、複雑な挙動を示す水以外の飲料に関するデータを取得する上で、手法の確立と解析方法を構築してきたが、28年度にはそれら手法によるテクスチャ、粘性測定および一月の期間を設けて、同一被験者が15回の繰り返しを行う官能評価を実施した。その結果から、飲料ごとに撹拌時間と経過時間によるとろみ付与の関連及び、それぞれの操作がどの程度最終的な調製物に影響を及ぼすかを明らかにした。 上記内容は、9月に開催された日本摂食嚥下リハビリテーション学会において、「飲料におけるとろみ付与の違いと撹拌操作に及ぼす影響」として発表し、新たな知見を報告した。この点において、水だけでなく各種飲料と固形物の一部に至るまで、とろみ調整で大きな比重を占める、「撹拌操作方法」を新たに確立できた。11月には「とろみ調整食品における適切な調整方法の検討」を発表した。この報告において一連の研究内容を総括し、従来までの調整方法からより具体的な内容を提案することができたと考える。
|