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2013 年度 実施状況報告書

自発運動と食環境が脂質代謝異常および動脈硬化病変に与える影響に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25750035
研究種目

若手研究(B)

研究機関東北大学

研究代表者

井上 奈穂  東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (90510529)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードメタボリックシンドローム / 食事療法 / 運動療法
研究概要

メタボリックシンドロームの予防・改善には、食生活の改善すなわち食事療法と運動不足の改善すなわち運動療法をストレスなく、バランス良く行うことが重要であると考えられる。本研究は、実験動物へのストレスが少ない自発的運動を利用した運動療法と、食品由来の機能性成分を利用した食事療法の相加・相乗作用によるメタボリックシンドロームの効率的な予防・改善の評価を行うことを目的とした。まず、培養細胞を用いた食品成分のスクリーニング系の構築を目指し、肝細胞、筋細胞、脂肪細胞を用いて、ポジティブ/ネガティブコントロールに対する各器官の応答性の違いを比較検討し、脂質代謝異常、炎症および酸化ストレスマーカーを改善する食品由来機能性成分のスクリーニングを行った。ポジティブコントロールとして、「食品成分A」を用いた。「食品成分A」は研究代表者がこれまでの研究により、脂質低下作用・糖代謝異常改善作用を有することを明らかにした食品成分である。ポジティブ/ネガティブコントロールとして、「共役リノール酸(CLA)」を用いた。これらを用い、各種細胞の応答性について、細胞毒性および濃度依存性、細胞のOil Red O 染色、細胞および培地中の各種脂質測定、細胞の遺伝子発現量解析、培地中の炎症マーカー測定の項目について評価を行い、スクリーニング系の確立を試みた。その結果、CLAはin vivoでの現象がin vitroでは発揮されず、コントロールとして不適切であった。一方、酵素処理により水溶性を与えた「食品成分A」はいずれの株細胞でも脂質低下作用・炎症抑制作用を発揮した。しかしながら、長時間培養の場合、著しいアポトーシスを誘導したことから、「食品成分A」の処理法、添加濃度などをさらに検討することが、本研究でのスクリーニング系の確立には必須であると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

まだ検討の余地はあるものの、in vivoの研究で脂質低下作用や糖代謝異常改善作用などが認められた「食品成分A」が、in vitroの研究でも有効に作用することが明らかとなり、これをさらに発展させることでスクリーニング系を確立できると考えている。また、「食品成分A」は運動療法の評価でもコントロールとして利用することが可能と考えられる。

今後の研究の推進方策

培養細胞を用いた新たなスクリーニング系の確立を目指しながら、in vivoでの評価を進めていく。具体的には、非運動群(定常状態群)および自発運動群を設定し、さらにそれぞれの群で通常食群、高脂肪食群、通常食+「CLA or 食品成分A」群、高脂肪食+「CLA or 食品成分A」群の4群に分け、短期飼育と長期飼育を行う。自発運動群は毎日、運動量(回転数)を観察する。飼育期間中、呼気ガス測定に よるエネルギー代謝測定を行い、非運動群および自発運動群のエネルギー代謝変動の比較、通常食群、高脂肪食群、通常食+「食品成分A」群、高脂肪食+「食品成分A」群のエネルギー代謝変動の比較を行う。in vitroにおいては、「食品成分A」はネガティブ/ポジティブコントロールとしては不適切であると考えられたが、in vivoでのCLAの作用は明らかであるため、食餌に添加することで対照として用いることとする。さらに、「食品成分A」の処理法、添加濃度などを検討し、スクリーニング系の確立を目指す。

次年度の研究費の使用計画

当初、細胞培養試験と並行して、通常マウスおよびノックアウトマウスを用いたin vivo比較試験を行う予定にしていた。しかし、予算の都合上、in vivo試験は通常マウスでの予備試験のみとした。このため、動物代や食餌代、分析試薬代が減り、残額が生じた。
次年度の計画と合わせて、初年度に計画していた通常マウスおよびノックアウトマウスを用いたin vivo比較試験を行う。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (11件)

  • [雑誌論文] β-コングリシニンのエネルギーおよび脂質代謝に与える影響に関する研究2013

    • 著者名/発表者名
      井上奈穂, 藤原由佳, 船山明日和, 加藤正樹, 池田郁男
    • 雑誌名

      大豆タンパク質研究

      巻: 15 ページ: 68-71

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Oxytocin receptor in the hypothalamus is sufficient to rescue normal thermoregulatory function in male oxytocin receptor knockout mice2013

    • 著者名/発表者名
      Y. Kasahara, K. Sato, Y. Takayanagi, H. Mizukami, K. Ozawa, S. Hidema, KH. So, T. Kawada, N. Inoue, I. Ikeda, SG. Roh, K. Itoi, K. Nishimori
    • 雑誌名

      Endocrinology

      巻: 154 ページ: 4305-4315

    • DOI

      10.1210/en.2012-2206

    • 査読あり
  • [学会発表] 低脂肪高炭水化物食と等カロリーの高脂肪低炭水化物食がエネルギーおよび脂質代謝に与える影響 -SDラット -7% vs 21%ラード食-2014

    • 著者名/発表者名
      小川 望美、井上 奈穂*、池田 郁男
    • 学会等名
      日本農芸化学会2014年度大会
    • 発表場所
      神奈川県川崎市
    • 年月日
      20140327-20140330
  • [学会発表] 胆汁を介さない小腸からのコレステロール排泄に影響する因子2014

    • 著者名/発表者名
      村田 みのり、荒井 達也、船山 明日和、井上 奈穂、池田 郁男*
    • 学会等名
      日本農芸化学会2014年度大会
    • 発表場所
      神奈川県川崎市
    • 年月日
      20140327-20140330
  • [学会発表] 摂食回数を変化させた高脂肪食給餌ラットの内臓脂肪蓄積およびエネルギー代謝への影響2013

    • 著者名/発表者名
      石田 良衡*、井上 奈穂、池田 郁男
    • 学会等名
      第34回日本肥満学会
    • 発表場所
      東京都千代田区
    • 年月日
      20131011-20131012
  • [学会発表] 緑茶カテキンがエネルギーおよび脂質代謝と内臓脂肪蓄積に与える影響2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤 知美*、井上 奈穂、池田 郁男
    • 学会等名
      第34回日本肥満学会
    • 発表場所
      東京都千代田区
    • 年月日
      20131011-20131012
  • [学会発表] 炭水化物の種類の違いがエネルギー及び脂質代謝に与える影響2013

    • 著者名/発表者名
      滋田 芽衣子*、井上 奈穂、池田 郁男
    • 学会等名
      第34回日本肥満学会
    • 発表場所
      東京都千代田区
    • 年月日
      20131011-20131012
  • [学会発表] 胆汁を介さないコレステロール排泄機構の解明2013

    • 著者名/発表者名
      村田 みのり*、荒井 達也、船山 明日和、井上 奈穂、池田 郁男
    • 学会等名
      第47回日本栄養・食糧学会東北支部大会
    • 発表場所
      秋田県秋田市
    • 年月日
      20131005-20131005
  • [学会発表] 胆汁酸の違いが小腸でのコレステロール及びシトステロール吸収に与える影響2013

    • 著者名/発表者名
      荒井 達也*、船山 明日和、村田 みのり、井上 奈穂、池田 郁男
    • 学会等名
      日本油化学会第52回年会
    • 発表場所
      宮城県仙台市
    • 年月日
      20130903-20130905
  • [学会発表] 大豆β - コングリシニンの糖代謝異常改善効果のメカニズム2013

    • 著者名/発表者名
      船山 明日和*、井上 奈穂、橘 伸彦、河野 光登、池田 郁男
    • 学会等名
      第67回日本栄養・食糧学会大会
    • 発表場所
      愛知県名古屋市
    • 年月日
      20130524-20130526
  • [学会発表] 低脂肪高炭水化物食と等カロリーの高脂肪低炭水化物食がエネルギーおよび脂質代謝に与える影響 -C57BL/6J マウス-2013

    • 著者名/発表者名
      一井 洋和*、小川 望美、井上 奈穂、池田 郁男
    • 学会等名
      第67回日本栄養・食糧学会大会
    • 発表場所
      愛知県名古屋市
    • 年月日
      20130524-20130526
  • [学会発表] 低脂肪高炭水化物食と等カロリーの高脂肪低炭水化物食がエネルギーおよび脂質代謝に与える影響 -SD ラット-2013

    • 著者名/発表者名
      池田 郁男*、小川 望美、井上 奈穂
    • 学会等名
      第67回日本栄養・食糧学会大会
    • 発表場所
      愛知県名古屋市
    • 年月日
      20130524-20130526
  • [学会発表] Soybean β-conglycinin improves carbohydrate metabolism in type 2 diabetes mellitus models, GK rats.2013

    • 著者名/発表者名
      N. Inoue*, A. Funayama, M. Kato, N. Tachibana, M. Kohno, T. Tsuduki, I. Ikeda
    • 学会等名
      104th American oil chemist’ society annual meeting & expo
    • 発表場所
      Montreal, Canada
    • 年月日
      20130428-20130501

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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