研究課題/領域番号 |
25750036
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 山梨学院大学 |
研究代表者 |
谷内 洋子 山梨学院大学, 健康栄養学部, 講師 (30642821)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 若年女性のやせ / BMI / 血糖値 / 低出生体重児 / 妊娠糖尿病 |
研究概要 |
平成25年度において、妊娠前および妊娠中の母体の体型と低出生体重児出産リスクに関する検討および母体の体型が児の出生体重に及ぼす影響の検証を行い、妊娠前および妊娠中の低い肥満度と低出生体重児出産リスクとの関連、さらには近年日本で問題となっている児の出生体重低下との関連を明らかにした。また、妊娠中の母体の血糖状態が低出生体重児出産を予測する指標となりうるかについてもあわせて前向きに検討したところ、妊娠中期に実施される耐糖能スクリーニングの結果において、糖負荷後血糖1時間値が低い母体では、母体のBMIと独立して低出生体重児出産リスク上昇および児の出生体重減少と関連していることを明らかにした。その成果を執筆した論文は、糖尿病専門の国際誌であるdiabetes res clin practに掲載された。 また、妊娠中のHbA1c値をテーマとした研究も並行して着手し、妊娠初期空腹時血糖値(FPG)とHbA1cを組み合わせることにより、FPG単独でスクリーニングするよりも、GDM発症予測精度を高められる可能性を見出した。この成果は、糖尿病の領域では、世界で最も権威ある「アメリカ糖尿病学会」の第73回学術集会において発表、さらにGuided Audio Poster Tourにも選ばれ、多くの糖尿病および産婦人科領域の専門家の前で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
妊娠中の母体の血糖値が低出生体重児出産を予測する指標となりうるかを前向きに検討した研究では、妊娠中期における低い糖負荷後血糖値は低出生体重児出産リスクを上昇させ、児の健全な発育に影響を及ぼす可能性を示唆し、妊娠時高血糖のリスクが確立されている一方で、母体の糖負荷後血糖に下限を設ける必要性を見出した。これは、現在低出生体重児出産率が高い日本人女性において、重要な意義を持つ可能性があるとされ、その成果を社会に役立てることができた(第2回DOHaD研究会奨励賞受賞)。この研究の論文執筆はすでに完了し、糖尿病専門の国際誌であるdiabetes res clin practに掲載が決定している。 また、妊娠中のHbA1c値をテーマとした研究も並行して着手し、妊娠初期空腹時血糖値(FPG)とHbA1cを組み合わせることにより、FPG単独でスクリーニングするよりも、GDM発症予測精度を高められる可能性を見出した。この成果は、糖尿病の領域では、世界で最も権威ある「アメリカ糖尿病学会」の第73回学術集会において発表、さらにGuided Audio Poster Tourにも選ばれ、多くの糖尿病および産婦人科領域の専門家の前で発表することができた。 さらに上記2つの研究テーマは、臨床栄養学分野において国民健康に大きく貢献できるとして、栄養改善学会より「平成26年度栄養改善学会奨励賞」を授与された。 以上のことから、申請した研究計画を忠実に進め、さらに発展させることができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については、出産後の母児の身体状況および食生活と母親の体型に対する意識の実態解明━産後1か月から産後2年までの母児の体重変化(児は身長を含む)と産後2年目における母親の体型に対する意識の検証━を行う。 これまで、妊娠および出産は肥満の契機となることが指摘されてきたが、若年女性の痩身化が顕著である近年のわが国において、出産後女性の体型の実態および自身の体型に対する意識、食習慣、さらには妊娠・出産が産後の体重増加を助長しているか否かについては明らかではない。平成26年度では、出産後2年を経過した産婦を対象に、出産前(自身の出生体重を含む)および出産後から現在までの体重歴と現在の食生活・身体活動量(カロリーカウンター使用)について調査し、妊娠・出産が産後の体重増加を助長しているか否かについて検証する。また、母親自身が体型に固執し「やせている体型を理想とする意識」を持つことは、そのこどものやせ願望にも影響することから、現在の(母親)自身の体型に対する意識についても調査し、このライフステージにおける女性のやせ願望の実態について明らかにする。さらに母親の出生体重を含む体重歴が児に及ぼす世代を越えた影響に注目し、児の出生後2年目までの発育状況について調査し、児の発育と母親の体重歴との関連を中心に解析する。本調査はすでに集まったデータを入力しデータベース作成中であり、解析作業の準備を進めている段階にある。 また本研究の集大成として、平成25年度に得られた研究成果と平成26年度に着手している上記研究成果の統合を行う。妊娠前、妊娠中、出産後の各時期における体型や食生活の特徴および問題点を明らかにするとともに、各時期に応じた健康教育指導法を提示し、研究成果を社会に還元することを目標とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度において、調査で収集したデータを解析する統計解析ソフトとしてSTATA 12を2台購入しインストール予定であったが、初年度の収集データの特性を考慮し、初年度はSTATA 12よりも価格が低いSPSS(1台)を解析ソフトとして購入、インストールした。平成26年度は平成25年度の残額で当初購入予定であったSTATA12を購入予定である。 平成25年度において、調査で収集したデータを解析する統計解析ソフトとしてSTATA 12を2台購入しインストール予定であったが、初年度の収集データの特性を考慮し、初年度はSTATA 12よりも価格が低いSPSS(1台)を解析ソフトとして購入、インストールした。平成26年度は平成25年度の残額で当初購入予定であったSTATA12を購入予定である。
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