研究概要 |
昨今,余剰米や規格外米等の未利用米が急激に増加しているため,主食用以外の用途を開発し米の消費量を拡大することが急務となっている。米麹は,味噌や醤油,酒等,日本の伝統的な食品の製造に欠かせない食材であるが,日本の米麹はAspergillus属のカビを用いたもの(散麹)に限られている。一方で,アジア諸国に目を向けると,タイのLuck PangやインドネシアのRagi,ブータンのChang poo等,さまざまな米麹(餅麹)が存在する。そこで代表者は,新規米発酵食材の開発を目指すため,アジアの糖化微生物で純粋発酵させた米麹を製造し,それらに保健機能の解明に着手した。 平成25年度には,糖化微生物(Aspergillus oryzae, Monascus pilosus,Absidia corymbifera, Mucor circinelloides, Mucor racemosus, Rhizopus oligosporus, Rhizopus oryzae, Saccharomycopsis fibuligera)を用いて米発酵物を製造し,その成分分析および生理活性評価を行った。製造した発酵物および未発酵物中の成分分析(還元糖量、アミノ酸量,およびポリフェノール含量)を行ったところ,各微生物を用いた発酵物の各含量は未発酵物と比較して増加しており,その中でも,R. oryzaeとR. oligosporusで著しく増加することを見出した。また,製造した発酵物および未発酵物の脂質分解活性を評価したところ,未発酵物と比較してAb. corymbifera,Mu. circinelloides,およびMu. racemosusを用いた発酵物の酢酸エチル抽出物において顕著な活性が見られることを明らかにした。
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