研究実績の概要 |
米は日本の最も重要な作物として全国的に栽培されてきた。しかし昨今,未利用米が急激に増加しているため,主食用以外の用途を開発し米の消費量を拡大することが急務となっている。本研究では,アジアに分布する糖化微生物を用いて米発酵物を製造し,保健機能を調査することで,機能性に優れ,かつ,バラエティーに富んだ米麹の開発を目指している。また本研究は,このような米発酵物を対象として,発酵による機能性付与のメカニズムを解明しようとするものである。 平成26年度には,米発酵物と未発酵物の抗酸化活性を2種類の原理の異なる方法で比較し,また,その活性物質を同定することにより,メカニズム解明の一端を示すことができた。以下が具体的内容である。全発酵物(Aspergillus oryzae, Monascus pilosus NBRC 4520,Absidia corymbifera NBRC 32279, Mucor circinelloides NBRC 4554, Mucor racemosus NBRC 4581, Rhizopus oligosporus NBRC 8631, Rhizopus oryzae NBRC 4706, Saccharomycopsis fibuligera NBRC 1665)のうち, Mu. circinelloidesの発酵物において未発酵に比べて顕著な活性の上昇が見られたため,活性物質の単離を行い,構造解析を行った結果,Tyrosolと同定された。また,発酵物に含まれるアミン化合物含量(アミノ酸代謝物量)をダンシルクロライド法により定量したところ,発酵物で有意に増加していることを明らかにした。
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