研究概要 |
各種脂肪酸(トランス脂肪酸,パルミチン酸,オレイン酸)の高含有高脂肪食と通常食でマウスを飼育し、経時的な肝臓内の変化、血清中の変化についての解析を行った。血液生化学検査では、通常食群と高脂肪食群では差がみられたが、各脂肪酸高含有食群ではあまり差が見られなかった。肝臓における酸化ストレス産生を確認するために、免疫染色とELISAを用いて、組織学的な検討と蛋白レベルで解析を行った。各群で3ヵ月, 6ヵ月, 12ヵ月と年齢とともにか増加し、さらに脂肪酸の組成の違いにより変化が見られ、トランス脂肪酸高含有群では最も酸化ストレスが増加していた。また、それらの肝臓を用いた組織学的な検討では、トランス脂肪酸高含有群では腫瘍性病変、発がんの増加や肝臓内の炎症の増加がみられた。発がんの原因検索の一つとして12ヵ月のマウスの肝臓で、酸化ストレスに関連した因子の変化について確認を行ったところ、酸化ストレスの代謝に変化が見られた。さらに酸化ストレス産生亢進に関与する因子を確認するために、脂肪酸代謝に注目をし、3ヵ月、6ヵ月のマウスの肝臓を用いて脂肪酸の取り込み、合成、蓄積、放出、代謝に関係する因子の解析をRT-PCRをもちいて行った。その結果、脂肪酸の放出に関連する因子については変化が見られなかったが、取り込み、合成、蓄積、代謝に関連するマーカーの変化が見られ、これらの異常が酸化ストレスの産生亢進に関与している原因の一つと考えられた。
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