研究概要 |
研究代表者の井上は、H21-H24若手研究 (B) において、青年期の食生活改善には、野菜摂取に重点を置いた栄養教育の必要性と、その教育には長期的な栄養教育だけでは顕著な行動変容には限界があり、積極的な野菜摂取向上のための介入の必要性を明らかにした。 そこで本研究プロジェクトでは、青年期の野菜摂取向上を目的とし、苦味感受性が野菜摂取量の評価の基準となるか検討を行い、継続的な野菜介入試験を実施する。さらに継続的な野菜摂取が便の性状や生体内にどのような変化をもたらすかについて検討を行う。 [H25年度実施内容] 静岡県立大学研究倫理委員会の承認後、同意を得た69名を対象者とした。身体計測、食物摂取状況調査、食習慣・食嗜好アンケート、PROP (6-n-propylthiouracil)、NaClに対する官能評価試験を実施した。その後、TAS2R38遺伝子多型 (PP, PA, AA) 別に各調査項目との関連について解析を行った。さらに野菜の苦味感受性に対する官能評価試験を行い、評価値を2群に分類し、調査項目との関連について解析を行った。 その結果、食物摂取状況調査結果では、PP, PA群に比較し、AA群において、肉類と果実類の摂取量が有意に多かったものの、アブラナ科野菜や緑黄色野菜摂取量には、遺伝子型間に有意差は認められなかった。また、野菜の苦味を強く感じやすい群は、「菓子類をあまり摂取しない」「牛乳・乳製品を意欲的に摂取する」と回答した者が有意に多く、また「普段の食事の味付けが薄味である」「調理済み食品の利用頻度が少ない」と回答した者も多い傾向にあることが明らかになった。 H26年度は、本研究結果を踏まえて継続的な野菜介入試験を実施する予定である。
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