研究課題
ガラニン様ペプチド(GALP)は、摂食調節やエネルギー代謝調節に関与しており抗肥満作用を有することが知られているが、その詳細なメカニズムは明らかにされていない。本研究では肥満マウスにおけるGALPの抗肥満作用について、末梢組織での脂質代謝調節機構に注目してしらべた。実験動物として5週齢の雄性C57BL/6J に15週間高脂肪食を給餌させた食餌誘発性(DIO)マウスを用いGALPを脳室内投与した後、呼吸商および脂質代謝関連遺伝子発現を測定した。さらに DIOマウスを作成した後、GALPまたはvehicleの点鼻投与を2週間行った。投与期間中は両群間で摂食量を揃えた。解剖後、肝臓中および脂肪組織中の脂質代謝関連遺伝子発現を測定した。脳室内投与後およそ1時間後から呼吸商がGALP群でVehicle群と比較し有意に減少した。肝臓中の脂肪酸合成に関与する遺伝子発現はVehicle群と比較しGALP群で有意に減少した。DIOマウスへのGALP点鼻投与によって、体重が有意に減少した。また、血糖値もGALP群で減少傾向がみられた。肝臓TG値はGALP群で減少し、肝臓中脂肪酸酸化関連遺伝子発現はGALP群で増加した。以上の結果から、GALPは通常食給餌マウスと同様にDIOマウスでも肝臓での脂質代謝を改善することで抗肥満作用を示している事が示唆された。加えて、GALPは脳室内投与だけではなく、点鼻投与によっても脂質代謝が亢進することで抗肥満作用を示すことが示唆された。
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