本研究課題では、現代食生活において摂取不足が懸念されているミネラル、特に鉄と老化の2点に着目した。鉄は必須微量元素であり、生体内鉄濃度は輸送担体により厳密に制御されている。加えて、加齢に伴う老化による輸送担体の機能低下は過剰な鉄の蓄積を招き、DNAや脂質の酸化を亢進し、加齢疾患リスクを増大させる。そこで本研究では、幼若期の鉄欠乏状態が心臓中酸化タンパク質の増大させること、それはp47phoxの発現上昇およびcatalaseの活性低下により活性酸素種を増大させ、タンパク質の酸化を亢進が関与することを示唆する結果を得た。さらに慢性的な鉄欠乏状態はオートファジー(タンパク質分解機構)を誘導することで結果として、細胞老化を誘導することを見出した。以上より、幼弱期からの慢性的な鉄欠乏状態は、酸化ストレスを増大させることで老化を誘導することが示唆された。
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