鉄欠乏状態が老化と炎症に対する生体内防御機構に与える影響について検討を行った。(1)老化および若齢マウスに鉄欠乏食投与はタンパク質の酸化を亢進したが、抗酸化分子のmRNA発現量の増加やオートファジーを活性化した。(2)NIH3T3細胞に鉄キレート剤deferoxamine(DFO)処理を行った結果、ROS産生関連酵素の遺伝子発現の増大によりROSが増加した。さらにDFO処理は老化関連分子群のタンパク質発現を増加した。以上より、鉄欠乏は酸化ストレスを亢進する一方で、生体防御機構を活性化することが、慢性的な防御機構の活性化は結果として、細胞老化を引き起こす可能性を有することが示唆された。
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