若年期にできるだけ最大骨量を高めることが、将来の骨粗鬆症予防のために重要である。骨量を高めるためには、適切な栄養摂取が重要であり、若年者に対する栄養教育が必要である。しかし、「若年期の骨代謝、特に最大骨量獲得と食生活との関連」は明らかになっていない点が多く、栄養教育に有効なエビデンスが少ない。そこで本研究では、若年期の食生活と骨代謝、特に最大骨量獲得との関連について縦断的に検討した。 女子サッカーチームに所属する中高生に、3日間の留め置き法による食事調査、体重・体脂肪測定、超音波法による骨量測定、血中の骨代謝マーカー測定(血清オステオカルシン;OC、骨型アルカリホスファターゼ;BAP、さらに非グラ化オステオカルシン;UCOC、Ⅰ型コラーゲンC末端 テロペプチド;CTX) およびIGF-Ⅰ(ソマトメジンC)を測定した。月経が始まっていない中学生群(月経なし中学生群)、月経あり中学生群、高校生群に分けて検討した。骨形成マーカーであるBAPは月経なし中学生群が最も高く、平均年齢が上がる程、BAP値が下がることが明らかになった。一方、IGF-Ⅰは月経あり中学生群が最も高い値であった。エネルギー摂取量は、月経なし中学生群が最も多く、年齢が上がる程、少なくなる傾向がみられた。骨代謝に重要な栄養素であるカルシウムも同様に月経なし中学生群が最も多く、他の群では不足傾向がみられた。 さらに、各群をBAPの平均値で2群に分けて検討したところ、月経あり中学生群においてカルシウム摂取量がBAP高値群で高い傾向が示された。高校生群においては、エネルギー、たんぱく質の摂取量がBAP高値群で高いことが示された。今回の結果から、BAP値が低下してくる月経後の中学生や高校生女子においても、エネルギー、たんぱく質、カルシウムなど骨代謝関連栄養素を適切に摂取することで骨形成を高めることができる可能性が示され、栄養教育の重要性が明らかとなった。
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