研究課題
若手研究(B)
本研究の目的は、ヒストン脱アセチル化酵素(Hdac)活性調節作用を指標として、中枢神経機能の回復や神経再生作用を有する食品由来天然成分を見つけ出すことである。はじめに、各種植物・キノコ類等の凍結乾燥粉末をメタノールやアセトン、酢酸エチル等で抽出した後、人工合成蛍光基質を利用してHdac活性調節作用を有する分子の探索を行った。その結果、供試した数種の植物由来天然化合物中から阻害活性を有する分子としてアントシアニジン類、フラボン類、イソフラボン類の数種を見出した。中でも、アントシアニジン類に属するシアニジン及びデルフィニジン類に強い阻害活性のあることが明らかとなった。また、これらの天然化合物について、マウス胎児脳由来の初代培養系神経細胞およびヒト脳由来の神経芽細胞種(SH-SY5Y細胞株)を用いて神経突起伸長に対する効果を検討したところ、シアニジンやペオニジンなどのアントシアニジン類およびクエルシトリンに有意な神経突起伸長作用のあることが確認された。更に、SH-SY5Y細胞株を用いて神経保護作用の検討を行ったところ、小胞体ストレスによる神経細胞死に対する保護効果物質として、ペオニジン、ペラルゴニジン、マルビジン、ゲニステイン、クエルシトリン、クロロゲン酸、また、酸化ストレス付加時の神経細胞死に対する保護効果物質として、アントシアニン類数種を見出した。今後は、HDAC阻害活性を有する候補物質の中から最も神経突起伸長促進効果および神経保護効果を有する活性調節分子を選定し、その詳細なメカニズムの解明を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
本研究は、Hdac活性調節作用を有する食品由来の天然成分を探索し、その候補成分の中から神経再生(神経突起伸長)効果を有する機能性成分を同定することを目的としている。本年度は、蛍光ペプチドアッセイ系を用いて食品成分からHDAC活性調節作用を有する活性物質を探索することを計画・目的とした。供試した数種の植物由来天然化合物中から阻害活性を有する分子として数多くの活性成分を見出すことに成功し、また次年度以降の計画である神経突起伸長保護効果の検討も一部進めることができた。今後、本計画を推し進めて有力な活性分子を同定できれば、より多くの新規有用物質の取得も期待できる。今後、いくつかの候補分子について詳細な検討を進め、マウス脊髄損傷モデルを用いた治療効果の検討を視野に進めていく。
本研究では、Hdac活性調節作用を有する食品由来の天然成分を探索し、その有効成分の中から神経再生(神経突起伸長)効果をもつ機能性成分を同定し、次いで、その機能性分子による神経再生効果の詳細を明らかにする予定である。今後は、蛍光ペプチドアッセイ系を用いて食品成分から見出したHdac活性調節作用を有する活性物質の中から神経突起伸長促進効果を有する有力な活性調節分子を選定し、その後、初代神経細胞培養系を用いて活性調節分子の神経再生調節の分子メカニズムを明らかにするとともにマウス脊髄損傷モデルを用いて治療効果の検討を行う計画である。
年度切りかえ時期のため翌年度での請求としたため。当該年度の計画の通りの使用を予定している。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)
Cell Death Dis.
巻: 4 ページ: -
10.1038
PLoS One
巻: 8 ページ: -
10.1371
Neuroscience letters
巻: 550 ページ: 150-155
10.1016