研究課題/領域番号 |
25750060
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研究機関 | 愛知学泉大学 |
研究代表者 |
内田 友乃 愛知学泉大学, 家政学部, 講師 (50440821)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ビタミンE / γ-トコフェロール / ゴマリグナン |
研究実績の概要 |
私たちはこれまでに、ラットにゴマを摂取させた場合、体内のビタミンE同族体のひとつであるγ-トコフェロール(γT)濃度が著しく上昇することを見出した。またそのメカニズムとして、ゴマ中に含まれるリグナン類が、肝臓でのγT代謝を阻害しているのと共に、小腸での吸収時にも一部γT代謝を阻害していると示唆した。そこで本研究では、ヒトのビタミンE代謝に及ぼすゴマリグナン摂取の影響を明らかにすることを目的とした。 昨年度、健康な成人男女に対し、d-γT 100 mgと焙煎していない太白ゴマ油(以下ゴマ油)または対照としてコーン油15 gを含むマフィンを7日間摂取させた場合のビタミンE代謝への影響を検討した。その結果、女性については、ゴマ油15 g摂取によって、γTの代謝産物であるγCEHC尿中排泄量は低下したが、血漿中のγT濃度を上昇させるまでには至らなかった。 今年度は、健康な成人女性に対して、摂取させるゴマ油の量を20 gに増やし、同様の方法を用いてビタミンE代謝への影響を検討した。その結果、血漿中のγT濃度を上昇させるという結果を得られた。これらの結果から、ゴマ油の摂取は、ヒトにおいてもγTの異化を阻害していると推察された。 今後は、ゴマ摂取による酸化ストレスへの影響を明らかにしていく。なお当初の計画では、運動時の影響も明らかにしたいと考えていたが、運動負荷を行って酸化ストレスを変化させた上で実験を行う条件を、これまでに十分に検討できなかった。したがって平成29年度は、運動を負荷しない条件下での酸化ストレスへの影響を見ることを最優先課題とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の計画であった、ヒトでのゴマリグナン摂取による、血漿中γT濃度の上昇は確認することができた。従って、ヒトでもゴマリグナン摂取がγT異化を阻害することが明らかになった。 今後ストレスマーカーを用いて酸化ストレスへのゴマリグナンの影響を見ていくことになるが、現在、どのようなストレスマーカーを使用するか検討に至っていない。 また、運動負荷の条件も検討できなかったことから、残り1年間の研究では、計画を変更する必要性があると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに明らかにできた、ヒトでのゴマリグナン摂取によるγT異化阻害の条件下で、酸化ストレスへのゴマリグナンの影響を見ていく。 まずはどのようなストレスマーカーを使用するか検討する。そのマーカーを用いて、酸化ストレスへの影響も明らかにする。 さらに、当初の計画にもある運動負荷の条件も検討することができれば、運動や精神的ストレスを負荷した上で結果に変動がみられるか明らかにしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を検討していた機器類の設置場所が、本勤務校で確保できなかった。また8月より体調不良で、研究が思うように進まなかったことから、試薬等の購入も控えたことで、次年度以降への繰り越しが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究の再開後すぐに分析が始められるよう、必要な機器類は徐々に揃えつつある。さらに分析に必要な試薬および消耗品等を早急に購入して分析を進め、計画通りに研究が遂行できるよう努める。
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