トリプトファンは必須アミノ酸の一つである。トリプトファンを摂取すると、生体内で分解される代謝過程で神経保護物質であるキヌレン酸と神経毒性のあるキノリン酸に作り変えられる。生体内で産生されるこれらの化合物の比率は脳神経疾患に影響を及ぼすと考えられる。しかしながらトリプトファン栄養の変化が脳内キヌレン酸、キノリン酸比に与える影響についてはほとんど明らかではない。そこで本研究ではマウスに濃度の異なるTrpを含んだ飼料を与えた。その結果、脳内KYNA/QA比が減少し、神経保護能の低下が示唆された。このため、極端なTrpの摂取は脳神経疾患発症の一因子となる可能性が示唆された。
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