本研究は理科教育転換期である明治中期における教育実態を児童・生徒の授業筆記から明らかにし、得られた知見を現代へ活かすことを目的としたものである。 主に次の点を明らかにすることができた。 (1) 埼玉、新潟で『小学校生徒用物理書』の使用実績があったことや簡易実験を実施していたと思われる記述があった。さらに、教師の力量による高水準な教育内容であった。 (2) 理科と地理にまたがっていた地学分野の教授内容は、地球表面の自然現象を科学的な視点でとらえ、原理が多く含まれるように変化していた。(3) 師範学校においては、当時の最新の科学研究の成果が教育内容に反映されていた。
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