本研究の主要目的は、2点の動機を満足させるインターンシップを疑似体験できる教材を開発し、学生の就業力育成を図ることである。1点目は、組込み分野の学生実験で「電機メーカの新製品開発プロセス」を一通り体験させ、ものづくりの面白さや大変さを実感させる。2点目は、「開発プロセス」に携わる様々な職種、例えば、開発リーダ職、技術営業職、デザイナ職などから一職種を履修者に選ばせて、学外インターンシップに参加したと同様の効果を得る。 平成27年度では、「電機メーカの新製品開発プロセス」を高度化し、デジタル加工の工作機(レーザ加工機、カッティングプロッタ、切削機など)を使った「ものづくり」を体験できる環境を構築した。これらを教材化して、3点の教育実践を行った。1点目は、組込み分野の学生実験の7週にわたるプロジェクト型の学生実験において約100名に適用した。2点目は、オープンキャンパスにおける高校生、その保護者、地域の住民などの参加者約50名にレーザ加工機を用いた「ものづくり」の体験をさせた。3点目は、教員免許状更新講習(デジタルファブリケーションによるレーザー加工の体験)を開講し、約10名の中学・高校の教諭に対し、レーザ加工を中心とするデジタルファブリケーションを体験させた。 学生の就業力育成の観点から、「電機メーカの新製品開発プロセス」などのプロジェクト型学生実験が学生の社会人基礎力の自己評価に与える影響を調査、分析し、得られた知見を平成27年11月の電気学会論文誌に発表した。
|