研究課題/領域番号 |
25750081
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大平 茂輝 名古屋大学, 情報基盤センター, 助教 (60339695)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ゲーミフィケーション / 議論支援 / タブレットPC / 議論能力 / 相互評価 / ゼミ |
研究概要 |
ゲーミフィケーションの要素として代表的な「課題」「報酬」「交流」の概念をゼミに導入し、獲得されるデータの可視化を通じてGamificated Discussionシステムを実現を目指した。平成25年度は(1)(2)の2つのアプローチから研究を実施した。 (1) 課題設定とゼミ中のリアルタイム評価手法の検討 「ゼミの参加者が設定する課題はどのように定義・分類されるべきか、また、ゼミ中にリアルタイムに課題の達成度を評価することが可能か」を明らかにすることを目指した。ゼミの参加者が設定する課題(スキルの獲得)を、理解力・分析力・構成力・伝達力・システム利用力の5つの能力に分類される議論スキルとして定義(計83項目)し、それぞれを包含関係のあるスキルツリーとして表現した。包含関係は、教員1名と学生2名の総意に基づいて定義した。各議論スキルの習得が困難かどうかを研究室内の学生に5段階で回答してもらい、その平均値を習得難易度とした。学生は難易度の低いものから徐々に高いスキルを自身の課題として設定する傾向が見られ、スキルツリーの妥当性を確認した。また、選択課題に対して他の参加者がパッド型評価ツールを用いて発言ごとにリアルタイムに達成度を評価する仕組みを実装・運用した結果、利用者への負担が小さく、十分に相互評価が可能であることが分かった。 (2) ゼミ中の発表スライドへの指摘手法の開発 スライド解析とスクリーン指示情報の解析によりスライド構成要素を自動抽出し、代表的なスライド作成のノウハウを拡張することにより「本質的な議論を妨げずにリアルタイムにスライドへの指摘を行うことが可能か」を明らかにすることを目指した。パッド型評価ツールを用いてゼミ中にリアルタイムにスライドに対する指摘を行う仕組みを開発・運用した結果、利用者への負担が大きくなり、議論への集中度が下がるという結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、平成26年度に「報酬」の概念をゲーミフィケーションに導入すること、ならびに、ゲーミフィケーションデータの可視化を行うことを予定していたが、十分ではないもののすでにシステムに導入して試験運用を開始しているため。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究実施計画(2)で実施した、発表スライドへの指摘手法については、実運用を行った結果、ゼミ中のリアルタイムな指摘に掛かるコストが非常に大きく、本質的な議論の阻害要因になることが明らかになったため、今後は、議論を主目的としたゼミと、発表練習を主目的としたゼミとを明確に分離し、前者に対してのみ本研究課題のゲーミフィケーションの仕組みを適用していくこととする。なお、スライドへの指摘の収集については、独立した別システムとして今後も開発を継続する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究実施計画(2)で実施した、ゼミ中の発表スライドへの指摘手法の開発において、リアルタイムな指摘が議論を阻害する要因になり得るという知見が試験運用の結果から得られたため、議論を主目的としたゼミと、発表練習を主目的としたゼミとに分離することにし、後者については独立した別システムとして現在開発を継続していることから、学生を雇用した評価実験に至っていないため。 別システムとして開発中の発表スライドへの指摘システムは、平成26年度の9月末に完成する計画であり、その後に当初予定していた評価実験を学生を雇用して実施するために、翌年度分として請求した助成金を使用する。
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