ゲーミフィケーションの要素として代表的な「課題」「報酬」「交流」の概念をゼミに導入し、獲得されるデータの可視化を通じてGamificated Discussion(GD)システムの実現を目指した。平成26年度は(3)(4)の2つのアプローチから研究を実施した。 (3) 報酬システムの導入と有効性の検討 平成25年度に構築したゲーミフィケーション・フレームワークでは、個々の課題(発表/議論スキル)の達成度しか分からないため、ゲームメカニクスの要素である、課題の達成度に応じて獲得できるバッジや経験値、レベルアップ、ポイント交換といった報酬の仕組みを検討し実装した。報酬が参加者のゼミに対するモチベーションに及ぼす影響と効果を約半年間(延べ50時間程度)のゼミを通じて分析した結果、特に研究室に配属されたばかりのゼミに不慣れな学生の、発言に対するモチベーションの向上ならびに議論能力の向上が確認された。議論能力は「話す力」と「聞く力」の2つに分類したところ両者に向上が見られ、高学年になるほど高いスコアをとることから、実際の議論能力を反映したスコアになっていると考えられる。 (4) ゲーミフィケーションデータの可視化 課題の達成度や履歴の表示、他の学生との比較を可能にする、ゲーミフィケーションデータの可視化システムを構築した。自身の成長度合いを把握し、他者との競争意識が芽生えることにより、ゼミの活性化につながるのか、そしてその効果が持続するかを(3)と同様に半年間のゼミを通じて分析した結果、目標設定や相互評価、レベル、トロフィーなどの効果は高いものの、アイテムやランキングの影響は小さく、今後の機能改善によって有効な要素となり得るのかを引き続き検証する必要がある。間接的な影響としては、GDの各要素またはGDによって生まれる交流などにより、ゼミの雰囲気が良くなり楽しくなったという意見が得られた。
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