本研究の目的は、遠隔非同期型のe ラーニングを対象として、学習者向けの「学習方法選択支援ツール」を開発し、これまでの研究で開発したツールとともに一般的な学習管理システムに組み込むことにより、自己主導学習スキル獲得の前提となる、自己主導的な学習環境を構築することである。当該年度においては、前年度の基本設計を踏まえ、「学習方法選択支援ツール」のプロトタイプの開発(α版)と評価および改善を行った。 1.プロトタイプの開発(α版) 本ツールの開発言語は、Moodle の開発言語であるPHP、JavaScript とした。これまでの研究で開発した「学習内容選択支援ツール:LCM」を拡張し、新機能として「学習活動の種類の提示機能」を追加した。開発は、これまでの研究と同様に申請者が担当し、開発過程においてシステム開発の専門家から意見を得る機会を設けた。 2.プロトタイプの評価と改善 プロトタイプの改善点を明らかにするために、形成的評価を行った。システム開発およびインストラクショナルデザインの専門家に協力いただき、専門家レビューを行った結果、開発したツールは学習方法の選択時に有効な支援ができていることが示唆された。一方で、改善点としてMoodle2系への対応が必要なことが分かり、改善後のツールを利用したMoodle2系サンプルコースを公開した。本研究終了後、熊本大学大学院教授システム学専攻にて本ツールを試用していただく予定であり、実践データの収集と分析を通じて本研究を発展させることで、自己主導的なeラーニング環境の構築が加速することを見据えている。
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