研究課題
若手研究(B)
本研究の目的は,「学習者自身に知識を体系化させ,誤りが含まれる場合は学習者に可視化して自ら修正させることで知識体系の洗練を促進する」といった一連の過程を支援するシステムの開発である.体系化とは,さまざまな概念間を関連付け,全体の構造を理解することであり,その理解には学習者自身が知識の体系化を行うことが効果的であるが,初学者は誤った知識の体系化を行うため修正作業が重要となる.本研究では修正への動機づけとして,個別診断および誤りの可視化を行うシステムを開発を目的とする.システムで実現する機能は「知識の体系化のためのコンセプトマップ生成インタフェイス」「体系化された知識の診断機能」「診断結果に基づく誤りの可視化機能」とした.さらに,教育現場での普及を目的としているため,その要件として「Webアプリケーションであること」「タブレットPCやスマートフォンで操作できること」「教室内において持ち込んだサーバーで構築するWifi環境で動作すること」を上げた.平成25年度は,これらの要件・機能を満たしたシステムを実装した.さらに,階層性のあるコンセプトマップ構築を対象とする.分野については,中学校理科教育における植物・動物の階層性,小学校理科教育における節足動物(昆虫含む)の階層性,大学教育におけるオブジェクト指向プログラミングの階層性,を対象とした.平成25年度は中学理科教育における植物の階層性,大学教育におけるオブジェクト指向プログラミングの階層性を実現した.さらに,大学教育におけるオブジェクト指向プログラミングの領域では実践を行い,効果を測定した結果,有効であることがわかった.
2: おおむね順調に進展している
当初の予定では小学校領域における節足動物の領域についての実現・実践を目的としたが,これは達成できていない.しかし,平成26年度に開発・実践を予定していたオブジェクト指向プログラミングを対象とした知識の体系化についてのソフトウェアの開発を行い,実践を行えた.それ以外の点ではほぼ計画どおりである.
既に現場での実践が可能であるシステムが複数開発できている.また,大学教育においては実験的に実践できている.そこで,平成26年度は小中学校での実践,および大学における本格的な実践を目的とする.大学においては実践できる科目は既に確保できており実践を行う.小中学校においては当初予定した小中学校ではなく,新たな協力者の元に中学校での実践を行う予定である.
本年度予定していた小学校,中学校での現場実践を平成26年度に延期し,代わりに大学における試用実践を行ったため,タブレットPCの購入を行わなかったためである.タブレットPCの購入および謝金の利用,成果の発表のために用いる.
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件)
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