研究課題
本年度では,外的構造の意味に頼らない,プログラムソース自身が保持する内的な構造(データ依存関係)にのみに基づいた読解学習教材を対象とし,プログラミング初学者にとって理解を阻害するであろう知識の発見を目的とした.本年度の具体的課題は,読解学習課題を自動生成し提示可能なシステムの開発と,運用から得た被験者データの分析である.本年度の主な成果は,非言語的な認知理解過程を推定する手段として視線運動に着眼し分析した結果と,開発システムを用いた実講義での学習支援から得た反応パターンを分析した結果を明らかにすることである.視線運動の分析では,プログラムソースの内的構造のひとつの要素であるデータ依存関係に着眼する.プログラムを理解することの形の一つである読解に着眼し,ソースコード読解中学習者はスライシングと似た思考を行っているという仮定のもとで,初学者にとって読解を困難とする可能性のある記述の発見を最終的な目的とした.本年度では,プログラムソースの内的構造の影響が視線に表出していることを明らかにすることまでを課題とし,注目箇所の推移が確かにプログラム構造の影響を受けていることを明らかにした.反応パターン分析の結果は,読解学習課題を自動生成し提示可能なシステムを実講義で適用し,学習支援を試み得たログデータ及びアンケートの回答に基づいて行った.読解学習支援システムの運用結果からは,初学者にとってプログラム読解を困難とする記述を明らかにし,プログラミング教材の作成や教授法検討の際に参考となり得る知見を得た.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件)
Proceedings of The 21nd International Symposium on Artificial Life and Robotics
巻: 1 ページ: pp.765-768
HCI 2016, Part I, LNCS 9731
巻: 1 ページ: Chapter 7