資料を直感的に早く正確に分類(同定)する「鑑識技能」の獲得は様々な専門領域で求められている。しかし考古学のように、体系的な学習法(教育法)が確立されていない領域では、技能の獲得には先天的な資質を必要とするとの誤解もあり、学習の途上で断念してしまう者が多い。本研究の目的は、このような学習者に対し、万人が持つ知覚学習システムを利用した利便性の高いトレーニングプログラムを提供することである。
最終年度の課題は以下の三点であった。(1)学習刺激に三次元情報を導入することで、現実の学習場面に近づけること、(2)プログラムの調整、(3)プログラムのパッケージ化と配付を行うことであった。 まず(1)について、前年度に実施した考古遺物の3Dモデリング練習を受けて、実資料の3次元データ化を行った。鹿児島国際大学考古学研究室から提供を受けた撮影画像を用いて、弥生土器15点、須恵器22点の学習刺激を作成した。次に(2)について、学習者の反応に対するフィードバック方式の変更を中心とした調整を行った。また、学習成績の伸びを視覚的に示す機能を実装した。(3)については、期間中の実現には至らなかった。
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