本研究では、「日本の幹細胞・再生医療研究を巡るメディア言論を巡るフレーミング(問題設定の枠組み)」を明らかとすることを目指した。朝日・読売・毎日新聞における幹細胞・再生医療関連記事およそ7400件を対象とした定量テキスト分析結果と政策的・科学的イベント発生経緯の関係性の分析を行い、ファン・ウソク事件までに注目されてきた「倫理」に関する話題が、2007年のヒトiPS細胞樹立以降に周辺化していったことが確認された。このことは、幹細胞・再生医療研究を巡る熱狂(Hype)を明らかとするとともに、その倫理的・法的・社会的課題を巡る議題設定への影響を示唆するものである。
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