研究課題/領域番号 |
25750101
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
會澤 久仁子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究開発基盤センター, 上級研究員 (80530162)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 研究倫理 / 倫理コンサルテーション |
研究実績の概要 |
1. 研究倫理コンサルテーション(RECS)と事例集積の試行 RECSウェブサイトを4月26日に正式公開した(https://sites.google.com/site/ncvc2011researchethics/recs)。そして7月には、施設内倫理コンサルテーションにて実施中の項目を参考に、利用者フィードバック評価を匿名ウェブアンケート方式で開発し、運用した。また同月、参考事例集の公開システムとしてブログサイトを作成し、RECSサイトの事例一覧ページからリンクし、また閲覧者のコメントも受付できる双方向システムを構築した。さらに参考事例として、観察/介入研究の区別をめぐる新研究倫理指針の解釈(7月17日)と、研究者の異動時に行うべき手続き(3月7日)の2事例を公開した。加えて、国内の研究倫理専門家に協力を依頼し、8月7日より13名、現14名を協力専門家としてRECSサイトに掲載した。協力専門家に対しては、依頼回答概要や参考事例公開について情報提供を行い、広報等の協力も依頼した。これらの結果、12月~3月にRECS依頼を4件受けた。事例閲覧回数は約190回であった。 2. 米国RECS継続調査 秋に米国学会参加とRECSレポジトリ訪問調査を行った。11機関共同RECSレポジトリの運用方法と成果に関する詳細と、日本での共同レポジトリ構築について有益な助言を得た。さらに、米国では2014年度よりClinical Research Ethics Consultation Collaborativeとして共同オンラインRECS等を開始したが(実績4件)、ウェブサイトを通じた相談依頼はまだないとのことであった。今後の国際共同比較研究を視野に、情報交換を継続したい。 3. その他 RECSニーズ調査論文と、RECSを含む研究倫理支援調査論文が出版され、RECSニーズ調査の国際学会発表を行った。当研究室の研究倫理研修についてもシンポジウム報告を行った。年度末より被験者相談窓口調査を計画実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究倫理コンサルテーションの受付ウェブサイトと専用Eメールアドレスの正式公開が、予定より約半年遅れ、2015年4月26日となったため。また、試行期間18か月間で20例の事例集積を予定したが、実際には、専用Eメールアドレスを通じたコンサルテーション依頼は、2015年12月以降に月1例、2016年3月までに計4例と、予定の約1/3にとどまっているため。(なお参考として、本専用Eメールアドレスを用いずに、外部から当研究室メンバーに寄せられた研究倫理コンサルテーションは2015年度に17件あった。)さらに、参考事例の公開も2件(2015年7月17日と、2016年3月7日)にとどまっているため。
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今後の研究の推進方策 |
1. RECS試行の継続と事例集積、参考事例公開 昨年12月より月1件のRECS依頼を受けており、このペースなら次年度は12例、計16例の依頼が見込まれるが、引き続きその動向を見ていく。また、参考事例の公開は、研究倫理に関する疑問や関心をもつ人々に広く閲覧され利用されるだけでなく、本RECSプロジェクトの認知と信頼獲得、依頼促進のためにも有益と考えられる。そこで、次年度は新規の参考事例公開を第3四半期までに3件以上とし、計5例以上の掲載を目標とする。さらに、研修や研究発表、協力専門家への情報提供を通じて、意識的に広報を継続し、事例集積を図る。 2. 事例集積モデルの検討、見直し、展望 まずこれまで構築したRECS事例集積モデルについて、国際学会での予備的発表を予定している。また、事例集積モデルのレビューについては、次年度内には予定した約20事例の集積は厳しい予想である。しかし、2016年内(9か月間)に新規11例、計15例を収集できれば、2017年明けからレビューを開始したい。事例については依頼内容と依頼者属性、対応内容、対応者、対応時間、依頼者フィードバック調査について分析する。そして参考事例集についても、閲覧数の推移等から利用状況を検討する。さらに、これらを国内外の学会発表と英語論文での成果発表と、実施方法の改善につなげ、構築したモデルによるRECS事例集積を継続する。加えて、これまでに本研究で培った国内外専門家との協力関係にもとづき、多施設共同RECS事例集積モデルの構築や国際比較といったRECS共同研究等の展望について協議を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会発表と、米国学会参加、および米国調査を一連の日程とし、関連研究費も利用して実施したことで、旅費を節約することができたから。
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次年度使用額の使用計画 |
国際学会発表に加えて、米国RECS等の情報収集の継続と、国際共同研究関係構築のために活用する計画である。
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