研究実績の概要 |
申請者は作物に選抜が加えられたことを解明するために,メロン仲間の種子遺存体に適用できる核ゲノムの8セットのDNAマーカーを前年度に開発し,現生メロン251系統について分類を試みた.また、種子遺存体の細胞質型を明確に特定するため、新たに葉緑体ゲノムの16箇所のDNAマーカーを開発し,系統解析を実施した.本年度はこれらを用いてメロン種子遺存体(鹿田遺跡出土)を解析した.メロンは主に2つのグループ(Ia,Ib)で構成されており,16世紀までは多様であり,数回に分けてメロンが導入されたことが示された.一方,現生メロンでは1つのグループに集約しており,育種の過程で遺伝的流亡が生じている可能性が認められた.これら2つの結果は,先の科学研費研究「若手B」(以下,前科研費研究)を支持する結果であり,本研究で開発されたDNAマーカーは,遺跡から出土したメロン種子に適用できることが示された.現在,分析成果を俯瞰ならびに選抜の過程をより詳細に検討するため,これらのDNAマーカーを用いて,大坂城・城下町の近世のメロン種子を解析している. また,本年度は成果のとりまとめに重点をおき,結果とこれまでの成果を統合した論文は,『Genetic Resources and Crop Evolution』誌にて査読中である.なお、成果の一端は、大阪府歴史博物館が主催する展示(『大坂の陣400年 特別展「大坂 -考古学が語る近世都市-」』平成27年4月18日~6月8日)やその図書にて紹介される予定である。また、開発したDNAマーカーを現生メロンの系統解析に適用した研究成果を学会にて報告した。
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