研究課題/領域番号 |
25750110
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
川岸 瀬里 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, その他部局等, 研究員 (60610946)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 博物館教育 / ユニバーサルデザイン / 鑑賞 |
研究概要 |
初年度にあたる25年度は、主に、特別支援教育の現状に関する調査および美術館・博物館における障害者対応を行った。 調査に先駆け、聴覚特別支援学校の教員、聴覚障害者とのとの意見交換を実施した。このとき、博物館の既存のツールやプログラム、展示に関する改善点が挙げられ、さまざまな困難のため、楽しむことが難しいという指摘を受けた。博物館資料を活用するための教材やプログラムの重要性、そのプログラムは参加者が自主的に楽しみ学ぶものである必要性を再確認した。 一方、インクルーシブ教育への流れの中で、学校現場での対応も揺らいでいる現状を知り、聴覚障害者のみに有益なものは、その潮流にあわないのではないかという結論に至った。 美術館・博物館では、ユニバーサル化が叫ばれているにもかかわらず、聴覚障害の特性を踏まえた対応やプログラムなどはほとんど取り組まれていない状況をあらためて確認した。一方、既存の障害者対応、プログラムには各施設の展示内容にあわせ、さまざまな展開を見せているものがあるため、聴覚障害の特性にあわせ、端末での画像の活用、文章の簡易化などアレンジをすることで、聴覚障害者だけでなく一般観覧者にも有益なものになるだろうと考えた。 コミュニケーションに困難のある聴覚障害者にとって、双方向的なやりとりを重視すべきか、あるいは個人で楽しみ学ぶ形を模索すべきかの結論には至らなかった。また、継続的に対応やプログラムを実施するためのシステムについてもいっそうの調査研究が必要なものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初に行った検討により、計画を一部変更した点もあるが、情報収集や調査については順調に進めることができた。 また、こうした活動により、調査先をはじめいくつかの施設や教員に「聴覚障害者の特性を踏まえた対応や鑑賞プログラム」という視点を提供するきっかけになり、情報交換や検討のうえでも前進することができた。 記録も可能な限り共有化を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の調査、検討結果を踏まえ、プログラムの方向性について、複数パターンでのプログラムの試作と検討を重ねながら固めていきたいと考えている。 この際の検証として、聴覚障害者、特別支援教育の専門家、博物館教育の専門家の協力を仰ぐ予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入を予定していた物品が生産中止により、年度内に入手できなかったため 購入を断念した物品の代替品の購入にあてる
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