自然史博物館ではこれまで動植物や岩石鉱物など、主に「物質」を表現する資料の収集・保存・活用を行ってきた。これに対して地層は「物質」であるだけではなく「現象」をも表現しているため、地層の標本化を通して地球の「現象」を標本化することができる。地層は単純に収集・保存することが難しいが、「地層剥ぎ取り」という技法を用いると、地層の表面を原状のまま剥がし取って実物標本化でき、学術研究をはじめ展示や普及活動等を通して広く社会に還元できる。地層剥ぎ取り技法を用いて地球の「現象」を実物標本化し、また博物館資料としての位置付けを明確化するための調査研究を行うことで、博物館資料の持つ新たな可能性を提示した。
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