地球化学的物質収支法の改良版に基づき,日本列島の代表的な花崗岩地帯3地域の化学的風化速度を推定した.調査対象地域は北アルプス,六甲山地,阿武隈高地の小流域であり,いずれも黒雲母花崗岩を基盤岩としている.各地域において新鮮な岩石を,各小流域において河川堆積物をそれぞれ採取し,蛍光X線分析装置を用いてそれらの化学組成および風化に対して抵抗性をもつ微量元素の濃度を測定した.その結果,削剥速度が極めて大きい(年間1 mm以上)領域において,化学的風化速度が削剥速度に比例する傾向が明瞭であることが明らかとなった.すなわち,急峻で削剥速度の大きな山地では,化学的風化速度も大きいことが明らかとなった.
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