本研究の目的は、被覆制約の付いた巡回路問題(CTP)のモデル化とアルゴリズムの開発である。より現実的な条件を反映したモデル化と、そのモデルに対しての実用的なアルゴリズムの開発を目指す。 本年度は、CTPにおいて電気自動車やプラグインハイブリッド電気自動車を用いた場合のモデルの構築と解法の開発を行った。電気自動車は走行にかかる費用を安く抑えられるが、様々な制約が付く。例えば、充電なしでは長い距離を走行するのは困難である上に、充電にはかなりの時間がかかるという制約がある。したがって、従来のCTPモデルをそのまま適用することはできなかった。そこで、電気自動車を用いた場合独自のモデル化を行い解法の開発を行った。具体的には、ガソリン車と電気自動車を併用して、広いエリアをカバーできるモデルを提案し、それに対する効率的な解法を開発した。また、近年注目を浴びているプラグインハイブリッド電気自動車を用いたモデルを提案した。プラグインハイブリッド電気自動車はハイブリッドモードと電気モードを切り替えて走行するので、経路と同時にモード切替のタイミングが重要になる。本研究ではモード切替と経路を同時に考慮できるようにモデル化を行い、高速に解を求めることができる解法の開発を行った。 さらに、CTPを拡張したハブ設置型のCTPの提案を行った。ハブ設置型のCTPは、ハブの設置位置を決定すると同時に従来のCTPを解く問題であり、大変困難な問題である。本問題は、より広い範囲の配送計画を考える場合に適していて適用範囲が広い問題であることを確認した。
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