研究課題
今日のインフラや情報システム,PC,スマートフォンなどの機器の動作を支えるためにソフトウェアが非常に重要な役割を果たしている.万一ソフトウェアのバグが原因となってシステムが停止または誤動作すれば社会に大きなダメージを与えることになる.したがって高品質なソフトウェアを開発するための様々な工学的手法が必要とされている.本研究課題では,ソフトウェアのテスト段階におけるテストの進捗状況やソフトウェアの信頼性をより正確に把握するために,必ずしもソフトウェアのテスト環境(人員数,テストの負荷など)が一定ではないような状況を考え,動的に変化するテスト環境をメトリクスデータとして有機的に利用したソフトウェア信頼性モデルを提案した.さらに,モデルのパラメータ推定に関するいくつかの問題点を解決するために,カーネル回帰に基づいたノンパラメトリック推定アルゴリズムを提案した.ここで,最尤法とカーネル回帰によるノンパラメトリック推定を組み合わせて利用することで,ソフトウェアの障害データにより適合することが示された.一方で,ソフトウェア信頼性モデルのパラメータを推定するためのソフトウェアツールの開発も行った.Java言語で開発されたM-SRATと呼ばれる評価ツールでは,ソフトウェアフォールトデータだけでなく,複数のメトリクスデータを利用することができる.M-SRATでは合計20種類のソフトウェア信頼性モデルに対して,モデルパラメータ推定,適合度検定などの機能を有している.これによって,ユーザーはデータ入力後に,ベースライン強度関数の分布,推定アルゴリズムなどを選択すれば,当該ソフトウェアの信頼性を評価し,その結果をグラフなどで確認できるようになった.得られた結果は開発現場において当該ソフトウェアの信頼性評価に利用でき,テスト計画,リリース計画などの意思決定に利用されることが想定される.
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
International Journal of Performability Engineering
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The Proceedings of the 10th Korea-Japan Workshop on Sustainable Management Systems in Service Industry
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神戸学院大学経営学論集
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10.1007/s11219-014-9264-0