災害・危機が発生した場合,大学は「キャンパス構内にいる教職員・学生を守る,危険物の安全確認を行い加害者にならない,教育・研究を早期に再開する」という使命を有する.また,大学によっては「避難場所や避難所として機能する」や「付属病院の機能を維持する」という使命も有する.災害・危機時にこれらの使命を滞りなく遂行するためには,いち早く大学としての初動体制を確立して中断なく業務を継続する必要があり,業務継続マネジメント(BCM)の整備が急務である. 本研究では,東日本大震災での教訓も踏まえて,大学キャンパス・施設の災害リスクを手軽に診断し,大学の特性に応じた行動計画を作成できる「事業継続マネジメント支援パッケージシステム」を構築することを目的とする. 本研究では,「①災害リスク診断マップシステム」及び「②災害対応データベースシステム」という二つの機能を有する「事業継続マネジメント支援パッケージシステム」の提案を行う.平成26年度は,「②災害対応データベースシステム」の仕様の決定とシステムの提案を行った.東日本大震災時の東北地方及び首都圏の大学の対応をレビューすることにより,いくつかの大学の現状での防災体制についてのヒアリングを行い,災害時に大学キャンパスで必要な災害対応を類型化するとともに,これらの課題を把握した.以上の分析より、防災担当の教職員が,東日本大震災での実際の災害対応から学び,発災後に必要となる対応に関する計画を抜け漏れなく作成できるような支援システムの提案を行った.本システムの活用して,リスクの把握・計画の策定・対策実施を繰り返し行うことにより,大学のBCM体制の改善につながると考えている.
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