平成27年度は、全国47都道府県間20部門産業連関表(2005年表)に基づき、47都道府県間20部門の動的応用一般均衡モデルを開発し、南海トラフ巨大地震の経済被害推定に関わる研究を行った。 まず同モデルを用いて東日本大震災の全都道府県各産業に対する影響(鉱工業生産指数における変動)を再現することを試みた。再現研究を通して、同モデルを用いて東日本大震災の経済被害を概ね再現であることが明らかとなった。また再現研究を通して同モデルにおける労働と資本の代替の弾力性および各財の代替の弾力性に関するパラメータのカリブレーションに成功した。 また同モデルによる事例研究として、南海トラフ巨大地震による製油所被災の経済被害を推計した。愛知県、三重県、大阪府、和歌山県、大分県に立地する製油所が被災することを想定し、これによる日本全国のGDP損失やサプライチェーンを通じ化学産業や自動車産業の生産額に与える影響を推計した。事例研究では、経済被害額に関する感応度分析を行った。
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