南海トラフ巨大地震による過去の地盤変動量を調査したところ、顕著な場所および最大沈下量は、高知県高知海岸の2 mおよび和歌山県七里御浜の40 cmと判明し、両海岸を本研究の調査対象地とした。地盤沈下による汀線後退量予測式をもとに後退量を計算したところ、高知海岸では81~135 m、七里御浜では2~21 mであった。両調査地における想定海岸侵食範囲内の土地利用を調べたところ、高知海岸については建物用地(21%)や農用地(11%)といった居住・経済活動範囲が多く含まれ、直接的な被害規模が大きく、一方、七里御浜については海浜(37%)の比率が大きく、直接的な被害の程度は相対的に小さいと評価された。
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