研究課題/領域番号 |
25750152
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
野々村 敦子 香川大学, 工学部, 准教授 (60363181)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 深層崩壊 / 前兆地形 / DEM |
研究概要 |
申請者は,国土地理院がWeb上で日本全国のデータを無料配布している解像度10mのDEMを用いて深層崩壊前兆地形を自動的に抽出する手法の構築に取り組んだ。2011年の台風12号で深層崩壊が多発した奈良県において、深層崩壊が発生する前後の詳細な地形データ(航空レーザー測量成果、解像度5m)を用いて、崩壊発生前の斜面において深層崩壊の前兆となる重力変形した深層崩壊前兆地形を目視で判読した。崩壊前のデータは国土地理院のインターネットサイトからダウンロードして入手し、崩壊後のデータは近畿地方整備局紀伊山地砂防事務所から提供して頂いた。 深層崩壊発生個所の確認を行うため、申請者と同じ学科に所属する地質学が専門の長谷川修一教授と6月29‐30日に現地調査を行い、崩壊発生頭部の位置と地形を確認した。これまでの研究で、斜面が重力変形を受けると、斜面上部に線状凹地をもつ緩斜面が形成されることが明らかになっている。現地では線上凹地の確認と、その線状凹地が2011年の崩壊によってできたかをチェックし、深層崩壊前兆地形の有無を調べた。 解像度の高いDEMは詳細まで明瞭に判読する際に有用であるが、日本では整備されていない地域があること、また整備されていても、高解像度故に解析に時間がかかること、などの問題もある。そこで本研究では、解像度10mのDEMでも深層崩壊の前兆地形が抽出できるかどうか検討した。その結果、地滑りの再滑動による深層崩壊か所を除き、斜面上部の緩斜面と緩斜面上部分布する線状凹地の抽出が可能であることを書きらかにした。本研究で得られた成果は、10月に開催されたthe 11th International Symposium on Mitigation of Geo-disasters in Asia (MGDA-11)、11月に開催された地盤工学会四国支部研究発表会で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
深層崩壊前兆地形を抽出する手法を奈良県の台風16号で発生した深層崩壊発生個所で構築するという目的を達成することができた。この手法を香川県から高知県へと繋がる国道32号線沿いの斜面に適用したところ、検討するべき課題があることが明らかとなったことは今年度の課題である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度は四国の国道32号および33号沿いの斜面で手法の検討を行う。解像度10mのDEMの可能性と限界を明らかにし、限界を埋めるための方策として、航空レーザー測量の5mDEMを使用して重力変形により深層崩壊が発生する前兆地形を呈している地形を抽出する手法を検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
国際学会で発表した内容をさらに遂行し、学術雑誌に投稿する準備を進めている。英文校閲および出版にかかる費用の支出を計画していたが、平成25年度中には英文校閲の発注には至らなかった。平成26年度の早いうちに投稿する予定にしている。 平成26年度の早いうちに英文校閲を発注し、投稿する予定にしている。
|