研究実績の概要 |
本研究課題では,赤血球の細胞力学モデルから,赤血球サスペンジョンの応力テンソル,拡散テンソルを定量化することで,新たな血液連続体モデルの構築を目指すものである.前年度までに希薄,準希薄懸濁液下での応力テンソル,拡散テンソルの定量化に成功し,平成26年度では,血液連続体モデルの構築に向けた濃厚懸濁液の数値計算モデルの開発を行った.赤血球の体積率が増えることは,計算に必要な細胞数が増加す事と同値であり,非常に高い計算負荷が問題となる.特に計算時間の増加は重要な問題であり,本研究ではGPUを使った高速計算手法を開発し,計算時間の短縮を図った.これにより現実的な時間内で赤血球の流動計算を行う事が可能となり,その手法をMatsunaga et al.(J Biomech Sci Eng, 2014)にて発表した.さらに血液連続体モデルの構築へ向けて,最新の計算生体力学,実験生体力学的研究を再調査し,それらを網羅的にまとめあげ,Omori et al.(Ann Biomed Eng, 2015)にて発表した.
以上,平成26年度の研究成果を以下にまとめる. 1.懸濁液中における細胞の変形や,懸濁液の粘性応力テンソル算出のためのGPU計算手法を構築した(Matsunaga et al., J Biomech Sci Eng, 2014).
2.血液連続体モデルの構築に向けて,微小循環系における最新の計算生体力学的および実験生体力学的研究を再調査し,それらをまとめあげた(Omori et al., Ann Biomed Eng, 2015).
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