本研究では,細胞へのナノメートルオーダの微小な機械的振動刺激が増殖や分化といった細胞機能の制御に有効であるとの知見がえられていることから,細胞への微小な機械的振動刺激を実現するための圧電アクチュエータを搭載した細胞機能制御のためのマイクロ細胞加振デバイスの開発を目的とする.本デバイスは細胞への機械的振動刺激を付与するための複数のダイアフラム構造を有しており,細胞への振幅や周波数といった振動条件を網羅的に解析することを可能とし,安全な細胞機能制御技術の確立を目指すものである.得られた成果は以下のとおりである. (1)マイクロ細胞加振デバイスの開発について,Siの深堀りエッチング(DRIE)を用いたダイアフラム構造および駆動部となるPZTアクチュエータの形成プロセスについて最適化を行い,ナノメートルオーダの機械的振動刺激を付与可能であることを示した. (2)細胞の接着は,細胞の増殖・分化などの細胞活動に必要な基盤となることから,細胞への加振の効果検証の基礎として,REF(ラット線維芽)細胞を用いた基板の表面材料への接着性の評価を行った.結果,細胞接着は,表面材料が細胞接着に影響を及ぼすことを示した.
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