医療現場において、放射線の分布をリアルタイムでモニタリングすることは、医療被ばくや診療の質の向上の点から重要である。本研究では、リアルタイムで放射線線量分布を取得することを目的に、複数のシンチレータと光検出器の組み合わせで、線量計としての基本特性を評価した。 評価にはシンチレータとして、プラスチックシンチレーションファイバ、Csいシンチレータを用い、光検出器であるMPPC(Multi Pixcel Photon Counter)と接続した放射線検出器を使用した。計数率から線量率への換算、プログラミングの作成を試みた。プラスチックシンチレーションファイバを接続したMPPCでは、デジタル出力によるパルスカウンティングモードからの線量評価に対し、シンチレーションファイバからの入射光子数が多いため、高線量場では数え落としが多く、線量が高くなるほど感度は低下した。3種類の形状のCsIシンチレータ(4.5 cm^3、2 cm^3、0.5 cm^3)とMPPCを用い、G(E)関数と波高パルス情報を掛け合わせることで、線量当量率に換算する方法を検討した。その結果約4桁の線量率直線性が確認された。またエネルギー特性に関しては、662 keVを1とした際、662 keV以下のエネルギー特性は良好であったが1117 keVで0.5 程度まで感度は低下した。方向特性に関しては、ほぼ一定の値を示した。適切な補正をすることで、シンチレーション検出器でも線量への換算が可能であることが確認できた。
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