研究課題/領域番号 |
25750167
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
坂元 政一 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (50610177)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ステアリルグリチルリチン / ステアリルグリチルレチン酸 / モノクローナル抗体 |
研究概要 |
脂質ラフトは、刺激に応じ離散・集合を繰り返すダイナミックな構造体として捉えられており、その形成には、構成脂質の分子構造的特性が深く関与する。そこで、先ず、ステアリル基を修飾した不溶性GC、GA (stearyl-GC、-GA)の新規合成を行う。次に、Langmuir単分子膜手法を用いて脂質ラフトモデルとstearyl-GC、-GAの界面科学的相互作用を分子レベルで明確にする。最後に、抗GCモノクローナル抗体(MAb 5B4)を用いた免疫化学的手法により脂質ラフトモデルにおけるGC、GAの局在部位を明らかにする。この様にLangmuir単分子膜を用いた界面科学的手法とMAb 5B4を用いた免疫化学的手法を駆使し、GCとGAの細胞膜における分子挙動を解明する。これにより、分子設計による新規DDSの開発や消化管吸収の改善へと繋がる研究に応用・展開する。 平成25年度は、ステアリル基を修飾した高純度のstearyl-GC及び-GAの作製を目標とした。stearyl-GCは、合成することにより供した。先ず、GCの糖鎖カルボキシルプロトンをO-benzyl-N,N-dicyclohexylisourea (BDCI)によるベンジル基により保護を行った。次に、テルぺノイド骨格30位のカルボキシル基にstearyl-N,N-dicylohexylcarbodiimide (SDCC)を用いてステアリル基を修飾した。合成後のstearyl-GCは、移動相にクロロホルムを用いたカラムクロマトグラフィーに二度供することにより精製後、NMRによりstearyl-GCを同定した。また、stearyl-GAは、購入後(>95%)、移動相にクロロホルム/メタノール(7/3)を用いたカラムクロマトグラフィーに付すことで精製した。精製後の薄層クロマトグラフィーにより1スポットであることを確認後NMRにて同定を行った。 今後は得られた化合物の界面化学的解析を行うとともに、MAb 5B4とstearyl-GC及びstearyl-GAの反応性を免疫化学的解析を行い、本研究の最終目的であるGCとGAの細胞膜における分子挙動の解明へと繋げる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画では、1. Stearyl-GC (SGC)、stearyl-GA (SGA)の調製【平成25年度】及び2. 単分子膜手法によるラフト構成脂質とSGC、SGAの界面科学的解析【平成25, 26年度】を行うこととなっていた。項目1に関しては、高純度のstearyl-GC及びstearyl-GAの作製に成功した。しかしながら、項目2に関しては、stearyl-GCの合成に時間を要し界面化学的解析を遂行するには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方法としては、まず、合成したstearyl-GC及びstearyl-GAを用いて脂質ラフトモデル(PSM/DOPC/CHOL=1/1/1)における界面科学的挙動を表面圧(π)-分子専有面積(A)曲線、表面電位(V)-A曲線、ブリュースター顕微鏡、蛍光顕微鏡により詳細に検討する。当該研究課題においては、抗GCモノクローナル抗体(MAb 5B4)の交差反応性が成否を左右する。そのため、合成したstearyl-GC及びstearyl-GAとの交差反応を酵素標識免疫吸着測定法(ELISA)により精査する。本項では、GC、GAに修飾したステアリル基が互いの親和性を低下させる可能性が考えられる。その際は、LB膜の最適固定化法の模索(エピトープの突出模様の変化による親和性の向上を期待)、修飾炭化水素鎖数の再検討(短鎖炭化水素鎖により親和性の回復を期待)、更にはMAbの再作製を行うことで軌道修正を行う。
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