研究実績の概要 |
脂質ラフトは、刺激に応じて離散・分散を繰り返すダイナミックな構造体として捉えられており、その形成には構造脂質の分子構造的特性が深く関与する。そこで、まずステアリル基を修飾した不溶性GC,GAの合成を行い、それらを用いてLangmuir単分子膜手法を用いて脂質ラフトモデルとステアリル-GC(SGC), -GA(SGA)の界面化学的相互作用を分子レベルで明確にする。これにより、分子設計による新規DDSの開発や消化管吸収の改善へと繋がる研究に応用・展開することを目的としている。 平成25年度までに、SGC及びSGAの高純度精製を終了している。そのため、平成26年度はまず、SGAと脂質ラフトモデルとの相互作用を検討した。まず、Langmuir単分子膜手法を用いて二成分SGA/PSM, SGA/DOPC, SGA/CHOL系の界面物性を熱力学的及び形態学的側面から体系的に解析した。その結果、以下のことが明確となった。二成分SGA/PSM, SGA/DOPC, SGA/CHOL系は1)混和している2)特に0.7<XSGA<1の高モル分率では異種間の相互作用が大きい。3)SGA/PSM, SGA/DOPC系では、SGAの添加によってLC化が促進される。 また、抗GCモノクローナル抗体(MAb 5B4)を用いてSGA, SGCとの交差反応性試験を行った結果、MAb5B4はSGC,SGA共に交差反応を持たないことが判明した。そのため、新しいハプテンを用いた新たなMAbの作製を行う必要があることが示唆された。
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