研究実績の概要 |
脂質ラフトは、刺激に応じて離散・集合を繰り返すダイナミックな構造体として捉えられており、その形成には構造脂質の分子構造的特性が深く関与する。そこで、先ず、ステアリル基を修飾した不溶性のステアリルグリチルリチン(SGC)及びステアリルグリチルレチン酸(SGA)の合成を行い、それらを用いてLangmuirの単分子膜手法により脂質ラフトモデルとSGCやSGAの界面化学的相互作用を分子レベルで明確にすることにより、分子設計による新規DDSの開発や消化管吸収の改善へと繋がる研究に応用・展開することを目的としている。 平成27年度までに、SGAと脂質ラフトとの相互作用を体系的に精査し、脂質ラフトモデル構成成分(PSM,DOPC,CHOL)とSGAは、二成分SGA/PSM,SGA/DOPC,SGA/CHOL系は1)混和している。2) 特に07<XSGA<1の高モル分率では異種間の相互作用が大きい。3)SGA/PSM, SGA/DOPC系ではSGAの添加によりLC化が促進することが判明している。また、抗GCモノクローナル抗体(MAb 5B4)のSGC及びSGAとの交差反応性を精査した結果、それらとの反応性がないことが判明した。 そこで、平成28年度では、ハプテンを変更することによりSGC及びSGAを特異的に認識するMAbの作製を行い、目的とする抗体を得ることに成功した。ハプテンはSGAをEDC法によりキャリアタンパク質とクロスリンクさせたものを用いた。
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