研究課題/領域番号 |
25750174
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
赤木 隆美 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任准教授(常勤) (00527236)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノ粒子 / ポリ乳酸 / ステレオコンプレックス / ドラックデリバリーシステム / ワクチン |
研究概要 |
本研究では、ポリアミノ酸-ポリ乳酸(PLA)グラフト共重合体のホモ/ヘテロステレオコンプレックス(SC)形成を駆動力としたナノ粒子の創製と薬物キャリアとしての機能を評価した。ポリ(γ-グルタミン酸)(γ-PGA)の側鎖カルボキシル基にポリ(L-乳酸)(PLLA)およびポリ(D-乳酸)(PDLA)をそれぞれ導入したγ-PGA-PLLAおよびγ-PGA-PDLAグラフト共重合体を合成した。得られたγ-PGA-PLLAとγ-PGA-PDLAの混合溶液(溶媒:DMSO)を水に添加することでナノ粒子の形成が認められ、X線回折(XRD)測定により、粒子内部にはPLLA/PDLAからなるSCが形成されていることが明らかとなった。得られたSCナノ粒子は、γ-PGA-PLLAのみからなるホモ粒子と比較して高い熱力学的安定性を示し、この安定性は粒子のSC結晶化度に依存していた。次に、SCナノ粒子の蛋白質・ペプチドキャリアとしての機能を評価した。SCナノ粒子は、粒子内部に蛋白質を効率よく内包することができ、また粒子表面に存在するカルボキシル基を利用することで、ペプチドを化学固定により担持させることが可能であった。γ-PGA-PLA SCナノ粒子のワクチンキャリアとしての機能評価として、モデル抗原である卵白アルブミン(OVA)を内包したナノ粒子を調製し、樹状細胞によるナノ粒子の取込み、内包OVAの細胞内分解挙動、マウス免疫実験による免疫応答を調べた。粒径200 nmのOVA内包SCナノ粒子は樹状細胞に効率よく取り込まれ、細胞内での内包蛋白質の分解を抑制することで、抗原特異的な細胞性免疫を優先的に誘導できることが明らかとなった。PLLAの疎水性相互作用からナノ粒子に比べ、SCナノ粒子では、高い安定性、細胞内での内包抗原の分解を抑制することが可能であり、細胞性免疫を優位に誘導できる特長を有していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、ナノ粒子の合成・物性評価を計画していたが、得られたナノ粒子の機能評価として細胞や動物を用いた実験まで展開することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通り、平成25年度に得られたナノ粒子の物性と機能に関する研究を推進し、ドラックデリバリーシステム(DDS)に有用なキャリア開発を目指す。
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